2013/11/22

保育園を「就学前学校」へ 改革が質の向上も生んだ

スウェーデンでは、1990年台に保育園をプレスクールにして、教育庁の管轄に置いた

日本では、保育園は厚生労働省、幼稚園は文部科学省が管轄しています。スウェーデンは保育園と幼稚園を統一し「就学前学校」として、教育庁(日本では文部科学省にあたる行政機関)の管轄においています。子どもの成長を考えると、日本もそうするのが良いだろうと思います。

スウェーデンが、なぜ、教育庁の管轄にしたかというと、人間は、1歳から学びが始まると考えているからです。そして、管轄が教育庁に移ることで、子育て支援が、親の視点から子どもの視点に移行しました。

また、就学前学校にすることで、保育園の社会的な地位が上がり、また保育士の給料と地位も上がりました。それによって、子育て支援の質が高くなったことも大きな収穫でしょう。

短い育児休業に長い預け時間は、子どもにとっても企業にとっても良くない

スウェーデンでは、育児の男女平等を促進するために、父親だけが取れる休暇が2カ月ある。子どもが病気のとき、親が休んで看病できるように看護休業制度もある(子どもが12歳になるまで、1人あたり1年間で120日間、給料の80%をもらって休むことができる制度)

子どもの成長を考えた視点が、日本の政治家には欠けているように感じます。日本の現状は、社員の産休をできるだけ短くして、長時間子どもを預けて勤務させている企業にとって、一番メリットがあるような仕組みとなっていないでしょうか。

しかし、このような体制は、長い目で見ると、決して企業のためにもなりません。なぜなら、今の子どもは将来の社会と企業を支える人材だからです。また、従業員の健康も会社の収益に関係してきます。

ワーク・ライフ・バランスという言葉が登場して久しいですが、政府が明解な法規制をしないために、全てのしわ寄せが子育て支援の現場にきているのが日本の現状といえます。

子育てを支えるのに必要なのは長期ビジョン

長期ビジョンを立てるには、現在の問題から解放される必要があります。あるべき姿が描ければ、今は無理でも将来到達するための中間目標を立て、そしてそのための政策、アクションプランを立てることができます。その時に子どもの成長の質を保証するというような指針がはっきりしていると、ただ経済的な理由で、質がなし崩しになることはないと思います。

高度な福祉を支えるには、税金で全国民で支えるというコンセンサスをとる必要があると思います。もっと今の税金の使い方に関心を持ち、福祉と教育に国が投資をすることを求める必要があると思います。

高見幸子
 1974年よりスウェーデン在住。15年間、ストックホルムの基礎学校と高校で日本語教師を務める。1995年から、スウェーデンへの環境視察のコーデイネートや執筆活動等を通じてスウェーデンの環境保護などを日本に紹介。2000年から国際NGOナチュラルステップジャパンの代表。現在、顧問として企業、自治体の環境ファシリテーターとして活動中。共著『スウェーデンは放射能汚染からどう社会を守っているのか』(合同出版)など

[ecomomサイト2011年10月28日付記事を基に再構成]

[参考] 家族と自然にやさしい暮らしがテーマの季刊誌『ecomom(エコマム)』。2013年秋号では、「魚をもっとおいしく食べよう!」「シェアする乗り物ライフ」「パーム油の産地ボルネオを訪ねて」などを特集。公式サイトで登録すると、無料で雑誌が届く。