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炭水化物ダイエットも間違えば、肥満の原因に

2013/7/14

日本糖尿病学会が3月に「炭水化物を制限しての減量は、科学的根拠が不足している」との提言を発表。これをきっかけに、炭水化物を巡る議論が沸き上がり、注目を集めている。ダイエット法としても人気の「糖質制限食」に学会が待ったをかけたためだ。

学会が発表した「日本人の糖尿病の食事療法に関する日本糖尿病学会の提言」には、次のように書かれている。

「総エネルギー摂取量を制限せずに、炭水化物のみを極端に制限して減量を図ることは(中略)これを担保するエビデンス(科学的根拠)が不足しており、現時点では薦められない」

一読すると“糖質制限に待った”とも読めるが、提言に至った経緯では、むしろその前の「総エネルギー摂取量を制限せず」の部分が重視されたようだ。千葉大学大学院代謝生理学の三木隆司教授がこう話す。

「ここ数年、糖質制限食が流行し、『ご飯抜き、肉やナッツは食べ放題』という食事法を行う患者さんが目立ち出した。だがこういうやり方だと、多くの人が結局、太ってしまう。学会はそこに歯止めをかけたといえる」

糖質制限食を薦める一部の書籍には「糖質以外はいくら食べてもいい」などと書かれている。いかにも魅力的な言葉だが、それで太っては本末転倒だ。

■「日本糖尿病学会の提言」のポイント
1. 糖尿病の治療に関する提言であり、一般の食事の話ではない。
2. 炭水化物が少ない食品(肉、魚、ナッツなど)を無制限に食べることによるカロリーオーバーを特に問題視している。
3. 最適な炭水化物の割合は、現時点では不明。今後の研究課題としている。

肝心の糖質制限についてはどう考えたらいいのか。糖尿病の食事療法は長年「カロリー制限」と「糖質制限」の間で揺れてきた。近年、世界的に糖質制限が注目されているが、研究の結論は出ておらず、「理想の栄養バランスはまだわからない」(三木教授)。また、米を多く食べてきた日本の場合、食文化とどうマッチさせるかも大切なポイントになる。

順天堂大学抗加齢医学講座の白澤卓二教授は、「学会の提言はあくまで糖尿病の治療食に関するもの。健康な人は、糖質の量より、むしろ“質”に気を配るほうがいい」と話す。質とは、「糖質の精製度」のことだ。

精製度の高い糖質(白砂糖、白米など)は脳の報酬回路を刺激する作用が強く、摂食量が増えて肥満を招きやすい(下)。「これは麻薬中毒と同じメカニズム。でも精製度の低い糖質なら、こうはならない」(白澤教授)。もちろん微量栄養素などの面でも低精製品は有利だ。

ちなみに白澤教授は「通常の食事はおかずにも糖質が多く含まれる。ご飯を抜いても現実には“極端な糖質制限”までいくのは困難だろう」と話す。

ご注意! 白米や白砂糖は脳の「報酬回路」を刺激する
白いご飯や甘いお菓子がなかなかやめられないのは、脳の中で“中毒”的な反応が起きるためだという(左チャート参照)。甘い刺激は、脳の報酬回路を興奮させる。すると強い快感が生じ、一度味わうと病みつきになる。刺激が繰り返されると脳が慣れてきて、より強い刺激でなければ興奮できなくなる。だから必然的に食べる量が増え、太ってしまう。精製度の低い糖質では、こうした反応は起こらない。

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