NHKを変えた3つのキーワード日経エンタテインメント!

タイムスクープハンター(木曜24時45分 NHK総合)  2009年スタート。時空ジャーナリスト・沢嶋雄一(要潤)がタイムワープと特殊な交渉術を使い庶民の生活を伝える歴史番組。現在シーズン3を再放送中。共演は杏

2011年7月の地上デジタル放送への完全移行を契機に、NHKが変わり始めている。2011年4月にはこれまで3波体制だったNHK BSを、「BS1」と「BSプレミアム」の2波に統合した。6月には50年以上の歴史を持つ教育テレビが、チャンネル名を「Eテレ」へと変更した。

番組に目を向けると、総合テレビの『あさイチ』『Bizスポ』など、従来のNHKらしからぬテイストの番組が注目を集め、出演しているアナウンサーまで脚光を浴びることに。また、『サラリーマンNEO』や『タイムスクープハンター』などを生み出した、次代を担う番組を作るプロジェクト「番組たまご」は軌道に乗り、コンスタントに毎年数本をレギュラー番組として送り出している。

こうした変化が目立つ一方で、従来と変わらぬNHKらしさも健在だ。東日本大震災では、総力を挙げて詳細かつ丁寧な震災報道を展開。これまでと変わらず、「有事に強いNHK」の安定感を見せつけた。

質の高い番組を作る伝統は守りながら、新しい試みにも果敢にチャレンジするNHK。ユニークでアグレッシブな取り組みが行われている公共放送の「今」を追った。

【番組たまご】  年1500件超の企画から選抜、長期間かけて育成

『シャキーン!以外は』いずれもNHK総合で放送

2005年の夏にNHKの編成局を中心に発足したトライアルプロジェクト「番組たまご」。局内外から集まった番組企画のなかから、「これは」というものをピックアップ、まずは新しい番組の“たまご”、すなわちパイロット番組を制作し、視聴者の意見をWEBで受け付けて分析、将来のレギュラー化を目指すという仕組みだ。ドラマ、バラエティー、ドキュメンタリーなどすべてのジャンルが対象。総合テレビを中心に、Eテレ、BS、FMでも放送した実績がある。これまでに『サラリーマンNEO』『ブラタモリ』『タイムスクープハンター』など、多くの人気番組がこのプロジェクトから生まれた。

「NHKでは、編成に寄せられる企画は年間1500本を超えます」と言うのは、編成局編成センターの鈴木龍太郎氏。企画は、秋に翌年度分をまとめて募集するほか、夏季や年末年始の特集向けにもアナウンスする。

さらに現在は、局内だけでなく外部の制作会社にもホームページで企画を公募、「ファミリー向けのバラエティー」「40~50代女性に向けたドラマ」など、ポイントを絞って企画を募ることもある。こうした企画のなかから、昨年は約30本のパイロット番組が制作され、『仕事ハッケン伝』『キッチンが走る!』、Eテレの『名作ホスピタル』といったレギュラー番組が誕生した。

視聴者と育てる「たまご」

パイロット番組の放送後に2週間、視聴者アンケートを実施するのが、番組たまごの特徴。アンケートの回答数は番組によって数十件から1000件超と大きく異なるが、『洋楽倶楽部80's』のように、2010年春に放送したパイロット番組に約3000件もの回答が集まり、同年の秋にはレギュラーとなった(10~12月)番組もある。

さらに反響や視聴率など様々な角度からレギュラー化を検討。「レギュラー番組なら少なくとも1クール3カ月、10回前後のネタを用意でき、かつクオリティーが維持できることが絶対条件。制作費も細かくチェックします」(鈴木氏)。

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こんな人もEテレに?