会場の問題が今後のライブ市場の課題

埼玉県所沢市に位置する西武ドーム。1986年から2005年までは毎年夏に渡辺美里のライブが開催されていたことでも有名。当日には特別電車も (C)SEIBU Lions

これからの課題としては、会場の問題を小泉氏は挙げた。12年は関東近郊を中心にスタジアムやドームをフル回転させて、3000万人を超える動員数となった。ただ直近で、ドームクラスの施設の開発は予定されていない。会場問題を解決していかないと、これ以上のライブ動員の伸びは期待できない。

「当面は、今ある会場をいかに有効利用するかが課題」と今泉氏は語る。近年では、チケットが完売した後に、見切り席(場所の都合で、アーティストが直接見えない席)を低価格で発売して席数を増やす努力も見られる。アーティストは見えなくとも、会場の雰囲気を共有したいというファンにはうれしいだろう。

ライブ会場として見直されているところもある。埼玉にある西武ドームは、季節や天候の影響を受けやすいために、あまり使用されてこなかった。しかし近年では東京近郊の会場として公演数が増えている。

また地方などの公共施設は、ライブ会場として使いづらい部分が多々ある。公の施設ゆえに使用制限がネックとなっているのだ。それもあって、地方のツアーを敬遠するアーティストも多いという。

ライブに足を運ぶファンが増えている中、チケットを入手することができない、地方にもっと来てほしいという声がよく聞こえてくる。さらなるライブ市場の拡大には、こういった会場の問題を、アーティストとプロモーターが力を合わせて解決していく必要もあるだろう。

(ライター 中桐基善)

[日経エンタテインメント!2013年8月号の記事を基に再構成]

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