キャスティングプロデューサーに聞く、起用したい俳優の選び方日経エンタテインメント!

前回は、人気の上昇した男優や女優を、担当マネジャーがどのように支援したのか、マネジメント側の狙いについて取り上げました。今回は、俳優を選ぶ側のスタッフがどのような視点から俳優を起用するのかについて取り上げます。

今、エンターテインメント業界はどんな俳優を好んで起用しているのか。キャスティングから公開まで1年以上ある映画業界で配役を決める、キャスティングプロデューサー・おおずさわこ氏に、タレントパワーランキング[注]から見えてくる、依頼したい俳優について聞いた。

おおず氏が信頼する女優の1人が満島ひかり。清水崇監督によるホラー映画「ラビット・ホラー3D」でヒロインに。映画は2011年9月17日公開(ファントム・フィルム配給)

おおず氏が得意とするのは、役者の人気を先読みすること。今回(2011年2月期)のタレントパワーランキングで799位から179位に大きくランクアップし、急上昇女優の3位に入った吉瀬美智子を、2010年10月公開の映画『死刑台のエレベーター』の初主演に抜てき(実際に起用したのは2009年初夏)。「今年、来年(2011年、2012年)で大化けする底知れない若手女優」として、まだ一般的な知名度は高くない満島ひかりを、2011年9月公開予定の『ラビット・ホラー3D』にホラー映画初主演でキャスティングしている。

そんな彼女が配役する際に心がけているのは、「役者の持つイメージを裏切ること」。「裏切る(=意外性)」が、「面白い」につながるからだ。そのための大前提として、新人俳優はイメージの定着が必要だと言う。「最初から万能タイプを目指すよりも、例えば『ワル役』で20代ならあの俳優というように、1つ秀でた“ハマりキャラ”があるほうが起用しやすい」。

おおず・さわこ 1971 年生まれ。2011年9月公開の映画『モテキ』(東宝配給)を準備中

イメージ定着後に別の顔を演出

役と作品が合致して役者の評価が上がったとき、類似する役を繰り返せば観客のイメージは固定される。そうして見る側は初めて「違う面が見てみたい」「次が見たい」欲求を持つようになるというのだ。「観客からその需要があってこそ、役者は別の“引き出し”を提供できる。私は、監督にキャスティングの意図を伝える際、『この子をこう変化させると面白くないですか?』と言えるわけです」。

[注]日経エンタテインメント!誌では、アーキテクト(本社・港区)の調査データを基に「タレントパワーランキング」を年1回発表している。これは調査結果を基に俳優やタレントなどの著名人の人気度をタレントパワースコアとして算出し、ランキング化したもの。ランキングの概要などについては別記事(「タレントパワーランキング2011 女優部門」など)を参照。
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