検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

なぜ立っていられる? ヒミツは体の中の精密装置

働きもののカラダの仕組み 北村昌陽

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

 二本足で立つ人間の姿は、よく考えると、とても不安定。しかも、その姿勢でさまざまな動きをこなします。どうやってバランスをとっているのでしょう? そこには、非常に精密な制御システムがありました。システムの中心は「平衡感覚」。体の回転や、傾きを検出する感覚です。

体のしくみの大半は、私たちの意識が及ばないところで働いている。"自動的"といってもいいだろう。いちいち意識しなくても、胃は食べ物を消化し、膵臓はインスリンを分泌し、腎臓はおしっこを、腸はうんちを作る。実に良くできたものだ。

そんな中でも、今回紹介する「平衡感覚器」は、極めつけの"自動装置"といえるかもしれない。自動化ぶりがあまりにお見事なので、普段、その働きを実感する機会はめったにない。「でも、ひとたびこの装置が不調に陥ると、めまいが起き、立っていることも難しくなります」

聖マリアンナ医科大学耳鼻咽喉科教授の肥塚泉さんはこう話す。なるほど、普段はほとんど目立たないけれど、実はとても大事なことをしているわけだ。

頭を動かしても目の向きはいつも一定

平衡感覚器の本体は、耳の奥にある「内耳(ないじ)」。カタツムリによく似た姿のこの装置は、「半規官(はんきかん)」「耳石器(じせきき)」「蝸牛(かぎゅう)」という三つの部位の集合体だ。このうち蝸牛は音を聞く(聴覚)装置なので、平衡感覚とは直接関係ない。「半規官」「耳石器」が、今回の主役だ。

内耳の内部は空洞で、内リンパ液という非常に粘性の高い液体で満たされている。その中にあるのが、「クプラ」「耳石」という2種類の小さなパーツ。これが、体の動きや重力の方向を感じ取るセンサー部だ。

「頭を左右に振ってみましょう」と肥塚さん。「半規官は3本のアーチを描いた管で、それぞれ前、後斜め、水平の面を向いています」。頭を水平に振ると、主に水平のアーチの中に内リンパ液の流れが生じ、あおられたクプラが微妙にたわむ。そのたわみを感知して、クプラからシグナルが発信される。

このシグナルは、眼球を動かす筋肉へ伝わる。頭の動きを打ち消す方向へ、眼球を自動的に回転させるのだ。これによって、頭がどちらに動いても眼球の向きが一定に保たれる。「目の前に指を立てて、首を左右に素早く振っても、見えている指はブレないでしょう?」

おおっ、本当だ。かなり早く振っても、指は1本にしか見えない。当たり前だと思うかもしれないが、「頭を動かしても目の向きは一定」って、考えてみればものすごい精密な制御だ。

今度は指の方を振ってみよう。これだと目の動きがついていけず、指がブレて見える。頑張って目で追いかけても、半規官の"自動操縦"にはかなわないのだ。やるなあ半規官。

さて、もう一つの装置=耳石器は、主に体の傾きを感知する。頭部が傾くと、表面にくっついた細かい石(耳石)の重みで耳石器の上部がズリッとずれる。「ずれを感知した耳石器は、脚の筋肉にシグナルを出します。傾いた体を立て直す方向へ微妙に調節することで、人間は立っていられるのです」

耳石の破片が流出すると激しいめまいが起きる

どちらも見事なオートメーションだ。では、このシステムに起きる不調についても聞いてみよう。「代表的なのは『良性発作性頭位めまい症』ですね」と肥塚さん。「耳石器からはがれた耳石のかけらが、半規官の方に入ってしまうことがあるのです」。頭を動かすと、このかけらがクプラを刺激し、目がぴくぴく揺れて頭が回るようなめまいと吐き気が起きる。女子サッカー日本代表の澤穂希選手が発症したことで、覚えた人もいるだろう。

「突然のことでびっくりしますが、激しい症状は数日~2週間程度で落ち着きます。そうなったら、なるべく体を動かす方がいい。そのうち、かけらが自然に耳石器へ戻って、治ります」

もっとも、めまいを起こす病気にはほかにもある。なかなか改善しない場合や、ほかの症状(耳鳴り、ろれつが回らない、手足が動きにくいなど)がある場合は、病院へ行きましょう。

北村昌陽(きたむら・まさひ)
 生命科学ジャーナリスト。医療専門誌や健康情報誌の編集部に計17年在籍したのち独立。主に生命科学と医療・健康に関わる分野で取材・執筆活動を続けている。著書『カラダの声をきく健康学』(岩波書店)。

[日経ヘルス2013年1月号の記事を基に再構成]

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

健康や暮らしに役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_