そこで便をスムーズに送り出すカギとなるのが、S状結腸周辺にある深層筋「腹横筋」。腹横筋は、コルセットのようにお腹の内臓を包みこむ筋肉ですが、実はへそ下あたりの腹筋が複雑になっているんです。

へそ下5~6cmほどの位置にある「弓状線」を境に、腹横筋の筋膜の下に腹直筋がもぐりこみます(図1の右図)。内臓を支えるためか、あるいは妊娠時の胎児の成長を妨げないためか、理由は定かではないのですが、とにかく腹筋の状態はへそ上とへそ下では異なっているんですね。体の安定感を保つのに大切な、いわゆる「丹田」といわれるのが、ちょうど弓状線のあたり。ここに力が入ることが、腸の難所であるS状結腸を刺激し、便をスムーズに押し出す力として、とても大切なのです。

へそから下の腹横筋は、腹直筋の前側をぴったり覆い支えますが、腹横筋が緩んでいると腹直筋の収縮を助けられず、下腹部全体の収縮が腸に伝わりにくく、腸の動きが鈍くなりがちです。また、妊娠してお腹が大きくなると、腹横筋はだらーんと伸びます。腹直筋を外側から締めつける働きが失われ、下腹に力が入らなくなり、便秘が起きやすくなります。同様に、猫背の人や下腹がぽこっと出ている人も、腹横筋がだらんと伸びた状態にあります。だから、便を押し出す力が弱まり、便秘体質になってしまうのです。

便秘体質を根本から変えるには、便を押し出せる下腹作りから。とはいえ、いきなり腹筋運動を始めても、交感神経優位で緊張していては、腸が動きにくい。準備体操として、ゆったりと寝転び、図2の腹式呼吸を行いましょう。腹式呼吸を行うと、横隔膜が大きく上下し、それにつられて腸も動き始めます。

図2 リラックスのために腹式呼吸を