N
働き方・学び方
僕たちはどう働くか

2014/4/22

僕たちはどう働くか

お金を稼ぐというより、純粋な興味のままにいろんな世界を知りたいという欲が強くて突き進んでいたと思います。働くことは苦ではありませんでした。家が裕福じゃなかったこともあったと思います。「なぜ中学生なのに働かなければいけないんだ」という気持ちより「そっちのほうが面白い」という気持ちのほうが強かった。芸能界も新聞配達も知らない世界を見られるという意味でとても楽しかったんです。

「ザッツ芸能界」へ

環境が変わったのは、中学生の途中ごろからでした。いわゆる「ザッツ芸能界」にはまっていきました。岩井俊二監督の「if もしも」(1993年)や、Kinki Kidsが出ていた「人間・失格~たとえばぼくが死んだら」(94年、TBS)に出演していたころからでした。人が集まってくるようになって、物理的にバイトで店頭に立っていることが難しくなってきたし、時間的にも芸能のほうが忙しくなってきて、自然と生活が芸能界に向かっていくようになりました。

フリーマーケットで売り子をしていたときに撮ってもらった写真が好きなファッション誌に紹介された。その半年後、自分がその雑誌に俳優として目立つ形で掲載されている、そんな感じです。

気がつくと、当時僕は同時期に5本のドラマを掛け持っていました。目立つようになると、「外へ遊びに行くな」「こういった人たちと会うな」と頻繁にいわれるようになりました。週刊誌に書かれたりするからです。自分ではまったく悪いことをしているつもりはなくて、元から好きだったサブカルチャーや新しい世界を知りたい、という昔からの僕と変わらないあり方でした。なぜこの音楽はこんなに素晴らしいのにここに行くなといわれるのか、この人たちはとても面白いのになぜだ、と苦しくなり始めて自分のなかで自問自答し始めました。自分の考えではないのに止められることって、本当にストレスです。そのなかで加速度的に忙しくなっていきました。

すると、考えることそのものをやめるようになりました。何かに反発するから痛い。我慢するから苦しい。だったらその元になる「欲」を捨てることが一番楽だと思ってしまったんですね、その時は。結局、狭い芸能界の知っている人たち同士、個室の居酒屋で会うだけになる。すると、もともと自分が何をしたかったのかわからなくなっていきました。

忙しいから、そんなことで悩んでエネルギーを使いたくない。ロボットと同じですね。考えることをやめる、欲をなくすというのは、夢を失うことと同じなんです。

注目記事
次のページ
過去の職業にこだわるな