地下街レトロ対決 消えた神田、現役最古は…東京ふしぎ探検隊(11)

消えた「最古の地下街」

かつて地下街があった場所は、ただの通路になっていた。白い壁と銀色の扉が想像をかき立てる

神田駅の地下街を実際に訪れてみた。地下鉄銀座線神田駅の須田町方面改札を出て6番出口に向かう。その途中に店舗があるはずだったが……。

なくなっていた。店舗があったであろう場所は白く塗り固められ、点在する銀色の扉がかろうじてその奥の空間を想像させた。いったい、何があったのか?

駅員に尋ねると、最後まで残っていた理容店が近くで営業を続けているという。場所を聞き、向かった。

「今年の1月末でみんな閉店したんですよ」。カットショップSUGIの杉原菖之輔さん(72)は、淡々と振り返る。店主の高齢化や消防法の問題、家賃を巡る対立などが背景にあったようだ。最後に残っていた4店のうち、テーラーや靴店など3店は引退したという。杉原さんも辞めるつもりだったが、常連客に「俺の頭をどうしてくれるんだ」と言われ、神田まちかど図書館にほど近いビルの中2階に移転した。

ビルの2階に移った「カットショップSUGI」。常連客に加え、新規客も増えて「商売繁盛ですよ」

杉原さんが父から店を継いだのは1987年。もともとは父の仲間が戦後まもなく開いたのが始まりだという。「帽子店に歯医者、看板を売る店、骨董品を扱う店もあった。タイプライターで代筆するおばさんもいたね。人通りも多くて、それはにぎやかだったよ」と懐かしむ。「地下街には空調がなくてね。店内は冬でも26度くらいあった。夏は暑かったなあ」。と話すその脇で、「外に比べたら涼しかったよ」と銀髪の常連客が笑う。店の場所は変わったが、人とのつながりは失われていない。

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