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ライフコラム
子どもの学び

2013/6/6

子どもの学び

あえて「ぼったくり」にひっかかる

修学旅行でハワイに行くことになった某男子校での話。ハワイには観光客の肩にオウムを乗せて写真を撮り、高額な撮影料をせしめるという定番のぼったくり商売がある。それに「あえてひっかかってみたい」と一部の生徒たちが言い始めた。自分たちの英語力でその状況を切り抜けられるのではないか、試してみたいというのだ。彼らは実行した。結局まんまとぼったくられた。引率の教師は物陰から一部始終を見守った。現在の世の中の常識からすればかなりやんちゃな教育だろう。

この傾向はいわゆる名門校と呼ばれる上位校ほど顕著である。これが「面倒見が悪い」とか「放任主義」などと誤解されることがある。しかしある男子校の教師は「生徒に好きなようにやらせるということは、あらゆるトラブルを想定し、ハラハラドキドキしながら見守り、時には臨機応変なフォローが必要になるということ。教師が仕切ってしまえるならそのほうが教師としてはラクだ」と訴える。

徹底的にバカをして、失敗を経験し、実感をもって学ぶことを繰り返し、草食化しかけていた男の子は積極性や意欲を取り戻し、たくましい一人前の男性へと成長していく。

もちろん幼児期と思春期では子どもに対する親のあるべき態度は違う。また、手を離して抱きしめることやひたすら待つことは、彼らがプロの教師だからできること。普通の親がまねしようとしてもなかなかできないことは事実。

しかし「男の子は転ばなければ学べない」ことを頭の片隅に覚えておいて損はないだろう。

おおたとしまさ
 育児・教育ジャーナリスト。心理カウンセラーの資格、中高の教員免許、私立小学校での教員経験もある。著書に『男子校という選択』(日本経済新聞出版社)、『男の子 育てにくい子ほどよく伸びる』(主婦の友社)、『13歳からの「男の子」の育て方』(PHP研究所)などがある。

[『日経キッズプラス 当たり前ができる子に育てる 心の教育』の記事を基に再構成]

[参考] 『日経キッズプラス 当たり前ができる子に育てる 心の教育』では、「いじめをどう解決すればいい? 親ができること」「子どもにストレスをかけているのはこんな親」「親に必要な発想の転換ポイント7」「子どもの生きる力を育てるために親ができること」などを掲載している。

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