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ライフコラム
子どもの学び

男子校の流儀 男の子は転ばなければ学べない教育ジャーナリスト おおたとしまさ

2013/6/6

子どもの学び

「草食系男子」という言葉を聞くようになって久しい。

昨今の日本の若者に見られる「内向き傾向」も特に男の子に顕著である。2012年度に東京都が高校生を対象に企画した留学プログラム「次世代リーダー育成道場」の応募者には圧倒的に女子が多かった。

ベネッセ教育研究開発センターが2009年に行った「第2回子ども生活実態基本調査」によると、「高校生では、なりたい職業がある女子は6割近くだが、男子は4割余りにとどまる」「将来幸せになっていると思う割合は女子のほうが多い」など、男の子は女の子に比べて将来を悲観している割合が多いことが示されている。

男の子がおかしい。

実際、育児や教育の世界には「男の子問題」という言葉がある。「男の子が力を発揮できていない。男の子がのびのびと育つ環境や男の子への適切な関わり方がもっと理解される必要がある」という指摘だ。

背景には「男性不在による女性中心の育児・教育環境」や「他人に迷惑をかけることを過度に恐れる世知辛い世の中の風潮」があると考えられている。

男の子が女性的価値観に染まってしまう理由

母親をはじめ、保育園や幼稚園など、子どもと直接関わる大人たちのほとんどが女性だ。核家族化や地域社会の希薄化のせいで、子どもの周りには男性が少ない。母親には夫以外の男性のサンプルが身近にいないし、男の子には父親以外のロールモデルがいない。父親も仕事に追われ子どもと触れ合う機会が少ない。男の子が早々に女性的価値観に染まってしまうのは仕方がないともいえる。

また、いくら幼い子どもであっても公共の場で騒ぐことは許されないムードが強まっている。保育園や幼稚園で友達に手を出してしまうと相手によっては大問題に発展することもある。トラブルを避けるため親は息子に、自己主張をせず、来るものを拒まない「いい子」であることを強く求めるようになるのだ。その結果、一見粗雑さに見える男の子らしさ、つまり意欲や好奇心や積極性は影を潜めてしまう。

草食系男子の誕生だ。

草食系男子が悪いわけではない。もともと草食系としての気質を持つ男の子もいるだろう。しかし本来は肉食系であるにもかかわらず、幼少期のうちに牙を抜かれてしまうのではたまらない。「男の子はつらいよ」ということになる。

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