消えてしまったクジラを食べる文化ホントが知りたい食の安全 有路昌彦

私が子どもの時はまだ学校給食にクジラが出ました。大豆としょうがで煮たものは特段印象が残っていませんが、薄切りを竜田揚げにしたものはとてもおいしかったのを記憶しています。

調査捕鯨により釧路沖で捕獲され、水揚げされるミンククジラ(2013年9月、北海道釧路市)=共同

もう一度食べたいなあ。家でもよくクジラの刺身は食べていて、半凍結の薄切りをショウガとおろしニンニクを薬味にした醤油につけて食べるのは御馳走でした。あれは美味しかったなあ……近いものでいうと、馬刺しを柔らかくして、うまみを強くした感じですね。

捕鯨は日本も加盟している国際捕鯨委員会(IWC)が、資源状態の悪化を公式な理由に商業捕鯨を禁止しました。1988年に日本は商業捕鯨から撤退したため、それまで当たり前にあったクジラ肉はとても珍しいものになったのです。

商業捕鯨の禁止の背景には、当時経済成長が著しい日本を攻撃する材料として特に欧米の企業をパトロンとするNGOなどの団体が、反日感情を作り上げる上で利用したということもありました。そのような複雑な背景から、「資源状態がよくなったら再開する」ということで日本はIWCにとどまり、粘り強く交渉を進めるという状況になったのです。

クジラを獲るのは野蛮?

しかしこういった中、日本の捕鯨産業は当然ながら壊滅状態。大量の雇用と人々の生活が失われました。経済とはこのように人のあらゆる意思によって左右され、一部の人の利己的感情の結果、大量の人々の生活や文化が失われてしまうこともあるのです。

これはクジラに限った話ではありませんし、海外からの反日運動に限ることでもありません。

過激な言動をするシーシェパードなどが、あれほどの活動をする「原資」はどこにあるのでしょうか。彼らを利用して日本のイメージを下げ、日本の製品の国際競争力を落とすことで利益を得る人たちの資金が原資になっている、こう考えると構造はよくわかると思います。

狙いは、イデオロギーの押し付けではなく、「かわいいクジラを獲っている野蛮な日本人が作った自動車など買わない」とその国の消費者に思わせるところにあります。