注目度急上昇中、雑穀の効果や効能は?
日経ヘルス
本来、雑穀には米や麦は入らないが、市販の五穀米などの雑穀ブレンド品では、大麦、黒米、赤米などを含んでいることが多い。また、豆類を交ぜたものもあり、幅広い商品が雑穀として売られている。
でんぷん質とたんぱく質が主な栄養素である白米に比べて、雑穀はミネラル類、食物繊維のほか、抗酸化作用によって生活習慣病などを抑制するといわれるポリフェノールが豊富だ。ご飯に交ぜて炊くだけで、同じ量なら低カロリーになり、食物繊維やミネラルを手軽に補給できる、まさにサプリメントのような食材として注目を集めている。
麦や雑穀は、種類によって栄養素や、期待できる健康効果も異なる。
大麦は腸内の環境を改善
まず、これらの中でも健康効果がはっきりしているのが、大麦。押し麦、丸麦、裸麦などが該当する。白米に比べてカロリーが低いだけではなく、例えば白米と押し麦を比べると、炊く前を同じ量としたとき19倍多くの食物繊維がとれる(表1)。
大麦には野菜や豆類からはとりにくい水溶性食物繊維も、多く含まれている。これは腸内細菌の餌となり、その活動を活性化させることで、腸内環境を改善する。また、水分を保持して便のかさを増す不溶性食物繊維もバランスよく含まれ、便通を促してくれる、腸に優しい食品だ。
しかも、白米と大麦を1対1でまぜた麦ご飯を1日2回、12週間食べた人で内臓脂肪が減少したというデータもある。この研究を行った食物繊維に詳しい大妻女子大学の青江誠一郎教授は「食物繊維に含まれるβグルカンは粘りが強く、コレステロールの吸収を抑えてくれる。さらに、消化吸収もゆっくりにし、血糖値の上昇を緩やかにするため、肥満の原因であるインスリンの分泌が抑えられる」と説明する。
ミネラル類やビタミン類の補給に向くのが小粒の雑穀だ。貧血に悩む人には、鉄分などが多いアマランサスやアワがいい。料理に使う際には、スープやソースにアワを加えると、熱で溶けてとろみ付けに使うことができる。アマランサスは、亜鉛やビタミンB6も豊富で、女性に不足しがちなミネラルを補うのに適する。
一方、ヒエは神経伝達物質の材料となるアミノ酸のトリプトファンが豊富。精神を落ち着かせたいときにいいようだ。
高い抗酸化作用が期待できるのが、ポリフェノール類がとれる黒米と赤米。料理に加えれば見た目にも楽しいだけではなく、健康効果も期待できる。
漢方成分「ヨクイニン」として知られるハト麦は、たんぱく質の含有率が約13%と豊富に含まれている。美肌作用や利尿作用があるという。
ポイントは毎日食べること
雑穀の効果を得るには、毎日とることが重要だ。さっそく食事に取り入れたいところだが、雑穀入りご飯だけでは、飽きる人もいるだろう。
そこでお勧めしたいのが、雑穀をゆでて、おかずのかさを増す素材として使う方法だ。コロッケや肉団子に混ぜれば、食感にアクセントが出るだけではなく、低カロリーで歯ごたえも加わり満足感を得られる。ほかにも鮮やかな色味を利用して、サラダにあえるだけでも、ちょっとした来客の際によろこばれるおもてなし料理になる。
デザートにも活用できる。例えば、ココナツミルクに黒米を加えればタピオカのような味わいになるほか、押し麦とヨーグルトをあわせれば、おなかに優しいデザートになる。
ダイエット効果あり、便秘解消効果ありと体にうれしい成分ばかりの雑穀だが、もちろん、むやみに多くとればいいというわけではない。食物繊維の摂取量を急に増やすとかえって便秘になることもあるため注意が必要だ。腸が慣れるまでは、1日の摂取量は大さじ2杯程度を目安にするのが良いだろう。
雑穀は事前にまとめゆでしておくと、冷蔵庫で2日間、冷凍庫で1カ月間も保存できるので、調理に便利だ。ゆで時間の目安は表1を参照のこと。ハト麦やタカキビなど硬めの食感の雑穀は、事前に15分から30分間水に浸しておけば、ゆで時間を短縮することができる。
雑穀はアクが強くて苦手だという場合には、ゆでる際に、湯にオリーブオイルやゴマ油を少量加えると、風味がよくなり食べやすさが増す。
ゆでるのも面倒だという人には、小粒の雑穀であれば、レンジで炊く方法もある。まず、倍量の水を入れてラップをし、600ワットのレンジで1分半から2分半加熱をする。ラップをしたまま5分蒸らし、再び1分加熱すれば炊き上がりだ。準備も簡単な雑穀を、ぜひ日常食として取り入れたい。
(日経ヘルス編集部)
[日経プラスワン2010年12月25日掲載記事を基に再構成]
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