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元厚労省局長 村木厚子さんの拘置所生活を支えた150冊の本 日経WOMAN

2011/1/9

 身に覚えのない郵便不正事件で逮捕・起訴され、5カ月間に及ぶ拘置所生活を余儀なくされた元厚生労働省局長の村木厚子さん(現・内閣府 政策統括官)。日経WOMANでは村木さんの苦しかった5カ月間を支えた150冊の本を公開。そして読書を通じて得た気づきについても話を伺いました。

村木厚子さん  内閣府 政策統括官(共生社会政策担当) 1955年高知県生まれ。高知大学卒業後、労働省(現厚生労働省)へ入省。雇用均等・児童家庭局長などを歴任。09年の郵便不正事件で逮捕・起訴されるも、10年9月に無罪が確定。通勤電車内と入浴中が読書タイム。(写真:矢作常明)

■『一日一生』『花さき山』に、助けられた

 「一日を一生と思い精一杯生きる。千日は、その繰り返し」

 この言葉が、長い拘置所生活を支えた。

 突然の逮捕後、20日にわたる取り調べが始まると、その厳しさに耐えられるのか不安になった。一日は長く、20日間は「永遠にも思えた」。

 同じ頃、知人が差し入れてくれたのが千日回峰行を行った天台宗高僧の『一日一生』。そこに冒頭の言葉がつづられていた。

 「今日一日を大切に生きよう、それは今いる場所でもできることだと思うと、20日間が永遠だと思うことはなくなった。励まされました」

 勾留中は、一日1~2冊のペースで本を読んだ。年間50冊ほどだった読書量は、半年で150冊に上った。身に覚えのない罪での逮捕、容赦ない追及にも絶望せず、冷静に真実を貫き通せたのは、「読書が精神安定剤になっていたおかげ」と振り返る。

 それまで、読書は「一番楽しみな時間」だった。

 大のミステリー好き。M.コナリーの“刑事ハリー・ボッシュ”シリーズ、P.コーンウェルの“検屍官ケイ・スカーペッタ”シリーズ、大沢在昌に横山秀夫など、その読書歴は推理小説が中心だった。

 「ミステリーは、ほかのことを忘れて没頭できるから楽しくて」

 多くの友人や支援者が拘置所に差し入れてくれる本には、歴史小説やエッセイ、児童文学など、これまで読んだことのない作家や久々に再会した本も多かった。が、意外にもそれが心の支えになった。絵本『花さき山』もその一つだ。

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