働き方・学び方

定年世代 奮闘記

人生の最期、見知らぬ僧侶には任せられぬ 定年男子の終活見聞録

2012/10/13

昔は冠婚葬祭に詳しいうるさ型のおじさんが、親せきや隣近所に1人ぐらいはいた。何かあって相談に行くと、的確な答えが返ってきたものだ。今はそんな相談先も簡単には見つからない。

その代わりでもないのだろうが、高齢者が増えた近年、葬式に関するセミナーがよく開かれている。葬儀社のほか、各地の消費生活センター、生涯学習施設などで、「分かりやすいお葬式」「聞くに聞けない葬式の話」などの案内看板を目にすることがある。

■3日間の本格セミナー、改めて「死に場所」考える

セミナー会場にはこんな看板が(東京都豊島区)

新横浜の葬祭会館「ラステル」を見学した際、葬式セミナーのポスターを見つけ、私も受講することにした。3日間にわたる本格セミナー。60歳代~70歳代の約20人が出席した。

講師は、葬祭コンサルタントの二村祐輔さん(59)。葬儀社に長く勤めた経験を生かし、自治体や葬儀社、民間団体などが主催する講演会を年間100回ほどこなすほか、葬祭関連の専門学校の教壇にも立っている。

以前は講演会を開いても、こそこそと隠れるようにやって来る人が多かったという。「縁起でもない」と看板の掲示を渋る施設もあった。それが今では、老人の健康、生きがい、ケア関連施設なども、堂々と葬式セミナーを開くようになった。「世の中はずいぶん変わった」「葬式への不安の表れだろう」と二村講師は言う。

■僧侶、お経、戒名は… 葬式は悩みどころいっぱい

セミナーで講演する二村祐輔講師(東京都豊島区)

 「1976年を境に、葬式事情が大きく変わった。さて何があったのでしょう」。セミナーはこんな講師の問いかけで始まった。正解は「病院での死亡者が、初めて自宅での死亡者数を上回った年」。自宅で亡くなる人の割合はその後も減り続け、今では12~13%(人口動態統計)にすぎない。

死に場所が病院だとどうなるか。「遺体を病院に長くは置いておけない。運び出しを迫られている時に病院出入りの葬儀社が現れると、動転している遺族はついつい搬送を依頼し、葬儀社の安置所に運ばれることになる」と二村講師。そうなると、成り行き上、後の葬儀もその葬儀社が取り仕切ることになりがちだ。

葬儀内容や費用の検討などは、余裕のない中では極めて難しい。「遺族が思案する間もなく、業者主導でスケジュールがどんどん進む葬式が主流になった」というのだ。「参列者におじぎを繰り返しているうちに終わってしまった」という遺族の感想もよく聞く。だからこそ、「本人と家族が、葬儀場や内容について生前に考えをまとめておくことが大切」と忠告する。

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