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自分の命は自分で守る

~ママ世代公募校長奮闘記(7) 山口照美

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NIKKEI STYLE

1学期が終わる最後に、校長として児童に「敷津ルール」を示した。最初からルールを押しつけるのではなく、子どもの実態や課題を観察してから作ろうと思っていた。各担任の学級ルールも踏まえた上で、学校全体の基本ルールは必要だと考えている。

【敷津ルール】
1.みんなの命を大切にする
2.人の気持ちを思いやる
3.自分の役割に責任を持つ

3カ月半、学校で起きるトラブルや児童の観察を経て作ったルールだ。「気持ちのいいあいさつ」「時間を守る」など、他にも候補項目はあったが、それは各学級や月の強化目標にすればいい。根っこになるルールを、3つに絞った。

小さな「悪ふざけ」でも、真剣に叱る

3つのうち、祈るような思いで設定したのが「1.みんなの命を大切にする」だ。「みんな」には、自分も含まれる。事故やケガをしないよう気をつける。そして、他の人にケガをさせないよう注意する。「廊下を走らない」「校内でボールをつかない、蹴らない」といった細かい約束事は、安全のための物が多い。これらの注意を聞かない子どもに対し、軽いやりとりで済ませてはいけない。

「命に関わることをしたら、校長室に連れてきてください」

来た児童は、「どうしてそうなったか」の聞き取りの後で、必要なら私か教頭先生に指導される。「鉛筆を友だちに向かって投げた」「机の上に乗って遊んだ」。当の本人や保護者にとっては、それほど叱られることに思えないかもしれない。しかし、学校現場では実際に「小さな悪ふざけ」から取り返しのつかない事故が起きている。

敷津小の事例ではないが、友だちの投げた物が眼球に当たって失明した事故や、机の上を飛び移っていて窓の外に落ちた事故もある。子ども達の安全を守るためにも、「命を大切にする」ルールを1番厳しい位置づけにしている。

我が子の安全教育に悩む日々

もう一つ、私が「命を守る」ことにこだわるのは、子ども達に「自分で自分の命を守る」意識を育てたいからだ。我が子にも悩まされている。5歳の娘が、ベビーカーを押す親より先に、左右も見ないで道路を渡ろうとする。「自分の目で見なさい、慎重に動きなさい」と何度教えても、友だちと一緒になってテンションが上がると忘れてしまう。子どもなんてそんなものだと思いつつ、私はやはり彼女を事故で失いたくないから道路のそばで即座に叱る。娘が泣くほど、真剣に叱る。

学校そばの横断歩道では、通学時に必ず教職員や近所の木津市場の警備員の方が立ってくれている。その安心感からか、子ども達は自分で周りを見ない。下を向いたり、話していたり。こっちも安全上、「早く渡りなさい!車が来てるよ!」と、つい声が出てしまう。

でも、こうして先回りして守ることだけが、本当に彼らのためになっているのだろうか。

学校管理下では、子ども達を守るためにさまざまな対策をしている。しかし、彼らは学校だけで過ごしているわけではない。校区で出会った児童の自転車の乗り方を見て、思わず悲鳴を上げたことがある。

「自分で自分の命を守る」意識を持って、自転車に乗ってほしい。

そう指導する横を、若い女性がスマホを見ながら自転車ですり抜けていく。携帯ゲームを見ながら歩く子どももよく見かける。大人のマナーは、子どもに伝染する。

物を平気で投げるのも、家での習慣が原因のことがある。タオルや新聞を「投げて渡す」のが普通だと思っている子に叱っても、「なんでアカンの?」と不思議そうな反応が返ってくる。我が家でも、たまにやってしまう。コントロールのできない子どもがまねをすれば、当然、事故の原因になる。学校現場に来て、親としての自分を反省することが増えた。

災害時に「1人で家にいる子ども」をどうするか

先日、自分の小学校に避難所を開設する訓練が行われた。地域の方が学校のカギを開け、町内会ごとに安否確認をして学校へ誘導する。基本、学校の教職員がいなくても避難所が開設できるようになっている。5回に渡る事前ワークショップの甲斐あって、あっという間に運営本部が設置され、アルファ米の炊き出しが行われ、本番さながらの機動力だった。

地域の力に感心しながら、校長として考えていた。何人かの子ども達は保護者に連れられてやってきていた。では、「親が連れて来られない家庭はどうなる?」と。

夜遅くまで働く保護者もいる。勤務先から帰れないケースもあるだろう。我が家だって同じ状況になりかねない。

自宅に1人でいる子ども。情報が入らず、周りで火事が起こっていても気づかないかもしれない。避難すべきか、自宅にいるべきか。うかつに飛び出して災害に巻き込まれることもあるだろうし、逃げなかったことで被害に遭うこともあるだろう。どんな情報収集をして、どんな判断をするか。災害コーディネーターの先生は「まずテレビかラジオをつけなさい」と指導してくれた。しかし、その後の判断が難しい。

2学期に入ってすぐ、学校の防災訓練がある。この時に「家族や学校との連絡の取り方・身の守り方」を指導しようと考えている。

夏休みだからこそ、家庭での安全・防災対策を

水の事故、交通事故、熱中症など、夏休みは子どもの事故が多い。今一度、「自分と他人の命を大切にする」ことを、各家庭でも確認してもらえると嬉しい。

さらに、学校管理下の死亡事故では「突然死」が多い。

子どもの持病を見落とさないことも、死亡事故を防ぐポイントになる。

私はバセドウ病(甲状腺機能亢進症)であることが、高2の時にわかった。動悸が激しくすぐに息が上がるため全力疾走ができない。自分も病気に気づいていない頃、高校の体育教師に「怠けるな!」と何度もダッシュをやり直しさせられた。自分でも原因がわからないだけに、心臓が爆発しそうで辛かった。たまたま、担任が同じ病気にかかったことがあったため、甲状腺が腫れているのに気づいてくれて、診察を受けることができた。現在は治っているが、定期的に検査は受けている。

学校の定期検診では見つかりにくい病気もあるので、気になる症状があれば受診や検査をおすすめしたい。親としても、学校管理者としても、切望する。

災害に備えるのも「思い立ったが吉日」。この記事を読んだ今日明日で、家族間の連絡の取り方や避難先の確認、防災グッズの整備をしてほしい。

山口照美(やまぐちてるみ)
同志社大学卒業後、大手進学塾に就職。3年間の校長経験を経て起業、広報代行やセミナー講師、教育関係を中心に執筆を続ける。大阪市の任期付校長公募に合格、2013年4月より大阪市立敷津小学校の校長に着任。著書に『企画のネタ帳』(阪急コミュニケーションズ)『売れる!コピー力養成講座』(筑摩書房)など。ブログ「民間人校長@教育最前線レポート」(http://edurepo.blog.fc2.com/)も執筆中

(構成 日経BP共働きプロジェクト・日経DUAL編集部)

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