「平年より暑い」の「平年」はいつ?気象予報士 伊藤みゆき

暦の上ではもう9月。9月というだけで一気に秋めく感じがしますね。日の入りの時間が早くなり、夜風が少し涼しくなり、秋の味覚や秋の装いが店先を飾るようになる……そんな日常から秋を感じ始めるのではないでしょうか。気象界でも9月からの3カ月が「秋」と決まっています。

ところが実際は、9月に入ってもまだ昼間は30度超の暑さが予想されています。近年はお彼岸を過ぎないと暑さが収まらなくなったように感じますよね。9月上旬の最高気温の平年値は、秋田26.7度、東京29.5度、大阪31.6度ですが、実はこの平年値、昔はずいぶん低かったのです。

「平年値」今年と2年前で違う

「平年値」とは、過去30年間の平均の値で、10年ごとに更新されています。更新は西暦で1の位が1の年。直近では2011年5月18日から新しい平年値になりました。それまでは2001年に更新された「1971年から2000年までの30年間の平均」でしたが、昨年からは「1981年から2010年までの30年間の平均」を使っています。つまり、現在「平年より○度高い」という場合と、2年前に「平年より○度高い」といっていた場合の「平年」の気温は違うのです。現・平年値は、旧・平年値に比べて全国的に0.2~0.4度高くなりました。地球温暖化や都市化などの影響を受けていると考えられます。つまり、現在では「平年と同程度の気温」と表す気温も、2年前には「平年より高い気温」と表していたケースも往々にしてあるのです。

また、0.2~0.4度というと大したことないように感じますが、これが意外に重要です。気温を評価するランクとして「平年並み」「平年より高い(低い)」「平年よりかなり高い(低い)」という5つの階級があります。0.4度高くなると「平年並み」が「平年より高い」ランクに変わってしまうことがあります。このランクの境は地域によって異なりますが、例えば、近畿地方では、平年より0.2度高ければ「平年より高い年」、0.6度高ければ「平年よりかなり高い年」と評価されるのです。「かなり」がつくと、過去30年間で3回あるかどうかの稀なことになります。月ごとにみてみると、特に9月は新平年値が大幅に高くなった地点が多いです。例えば、名古屋は9月の旧平年値が23.4度で現平年値は24.1度です。これまで24.5度なら「平年より高い(暑い)」と評価されていたのが、「平年並み」になってしまうのです。近年の「9月になっても残暑が厳しい」傾向を反映した結果です。