より速く、より高音質に スマホ夏モデル総チェック
ドコモの2014年夏モデルの最大のウリは、「VoLTE(ボルテ)」の採用による高品質、高機能な通話サービスだ。低域から高域まで広がった音声帯域でクリアな声を伝えられるほか、接続までの時間の短縮、通話しながらの高速データ通信の利用、ビデオコールの提供などさまざまな付加価値がある。
夏モデル6機種のうちボルテに対応するのは4機種。対応機種同士の通話のときだけ効果が得られるので、家族などとおそろいで機種変更するとボルテの効果を実感しやすいだろう。
上位機種は1時間でフル充電できる「急速充電2」対応
バッテリー周りに力を入れているのもドコモの夏モデルの特徴だ。災害時などに消費電力を低減させてバッテリーを長持ちさせる「非常用節電機能」は全機種が採用する。上位4機種は、15%の電池残量から60分で1800mAh以上を充電できる「急速充電2」に対応。別途「ACアダプタ05」を使う必要があるが、その効果は絶大だ。
さらに、4機種は3000mAh以上の大容量バッテリーを搭載するなど、電池でのユーザーの不満を解消したいという意気込みが感じられるラインアップだ。一方で、赤外線通信の対応機種は激減。赤外線通信が必要なら注意して製品を選ぼう。
フルHD(1080×1920ドット)の4倍の画素数に相当する4K動画を撮影できるのは、「エクスペリアZ2」「ギャラクシーS5」「アクオス ゼータ」の3機種。スマホのフルHDディスプレーでは、その精細さを味わえないが、4K対応のテレビに出力すれば超高精細の動画を手軽に楽しめる。
ディスプレーは、5機種が5型以上。アクオス ゼータは5.4型の大画面を搭載しているが、縁が非常に狭い狭額縁デザインで、その大きさを感じさせない持ちやすさを実現している。
使い勝手を磨いたモデルもある。「アローズNX」は、指紋センサーの搭載や新開発の日本語入力システムで、より使いやすくなった。一方、「大きなスマホばかりで困る!」という人に向けては「エクスペリアA2」がある。4.3型と画面はひと回り小ぶりだが、幅は65ミリと持ちやすさは群を抜く。
「ディズニー・モバイル・オン・ドコモ」は、3万点以上のディズニーコンテンツが無料で使えるので、ディズニー好きの人は要チェックだ。
auの目玉は150Mbpsの高速通信
auの夏モデルのスマホ6機種の内訳は、夏モデルの目玉機能である高速通信技術「キャリアアグリゲーション(CA)」に対応する5機種と、個性的な高耐久性モデルの「トルク」1機種となる。
最大150MbpsでのLTE通信を可能とするCA対応の5機種は、「WiMAX2+」にも対応し、5型以上の大型ディスプレーを搭載する。2.3GHz以上のクアッドコアCPU(中央演算処理装置)を搭載するなど性能も申し分ない。さらにこれら5機種は、ドコモと同様に「ACアダプタ05」と組み合わせると、30分で1日使えるだけの急速充電ができる。朝の短時間でもたっぷり充電できるのはありがたい。
CAの効果のほどを、実際にサービスが始まった東京国際空港(羽田空港)の第1ターミナルで実測してみた。その結果、1階到着ロビーでCA対応の「ギャラクシーS5」が71.9Mbps(旧機種は46.7Mbps)、地下1階フードコートではギャラクシーS5が102.2Mbps(旧機種は24.8Mbps)だった。CA対応エリア内のみで、さらに周囲の利用条件などにも左右されるとはいえ、条件がそろえば高速データ通信が可能だ。
ディスプレーで文字通り異彩を放つのは「イサイFL」。5.5型という夏モデル最大の画面サイズはもちろん、フルHDの約1.8倍の画素数を持つWQHD(1440×2560ドット)の解像度を持つ。4K再生までは到達しないものの、高解像度写真や4K動画をフルHDよりも一層美しく表現できる。
「エクスペリアZL2」「ギャラクシーS5」「アクオス セリエ」はいずれも5型以上の大型ディスプレーに高画素カメラ、4K動画撮影機能などを備えたハイスペックモデル。どれを選んでも不満はない。「アルバーノ」は大人向けの落ち着いたモデルで、4K動画撮影機能はないものの、それ以外は前4機種に劣らない性能、機能を備える。
アウトドアや建設現場などでの利用に待ち望まれていた高耐久性モデルが、「トルク」だ。米国防総省の「MIL規格」に準拠した防水、防じん、耐衝撃、耐振動性などを備え、ラフな使い方にも耐える。ぬれた手で操作できるタッチディスプレー、手袋をしたままでの操作を考慮したハードキーの採用など、過酷な現場への配慮がうれしい。
夏モデルでは大々的な発表会を開催しなかったソフトバンク。準備ができた機種から順次、発表していくというスタンスだ。夏モデルに相当する新製品としては「アクオスXx」を発売している。狭額縁で大画面の5.2型で、4K動画の撮影に対応するなどフルスペック仕様だ。
(ライター 岩元直久)
(日経PC21 2014年8月号の記事を基に再構成)
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