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「ぎりぎりの難しさ」が頭を刺激 シニアのための脳トレ術 東北大学教授 川島隆太氏

2012/9/7

東北大学加齢医学研究所教授の川島隆太氏は、年をとることを否定的に捉えずに、元気で賢く年をとる「スマート・エイジング」という生き方を提唱。「身体を動かす習慣、バランスの良い栄養をとる習慣、社会とかかわり続ける習慣」に加え、頭を使う習慣を身につけなければいけないという。「脳トレ」ブームの立役者でもある川島氏が勧める頭の鍛え方とは。

――川島教授が取り組まれている「脳機能イメージング研究」とはどんな研究なのですか。

かわしま・りゅうた 1959年、千葉県生まれ。医学博士。東北大学加齢医学研究所スマート・エイジング国際共同研究センター教授。東北大学助手、スウェーデン王国カロリンスカ研究所客員研究員などを経て現職。認知症患者の脳を活性化させる「学習療法」を提唱。ニンテンドーDS「脳トレ」シリーズ監修。日本における脳機能イメージング研究の第一人者として著書多数。

川島 脳の働きを測る大きな装置を使って私たちがものを考えたり、身体を動かしたりしている時に脳のどの部分が働いているかを、脳血流の速度を計測することによって見つける研究です。別名、「脳機能マッピング研究」ともいい、脳の何丁目何番地にどういう機能があるかを書き込んでいます。最初に行ったのは運動に関する研究です。例えば、右利きの人が右手を動かす時、左の脳が働きます。でも、右利きの人が左手を動かすときは左右両方の脳が働くんです。いまは、もっと高次の心の働きをみる研究をしています。

■70歳から80歳に、「成長」実感できなければ無意味

――スマート・エイジングという言葉は、どういう意味なのでしょうか。

川島 みなさんはエイジングと聞くと、「アンチエイジング」という言葉を思い浮かべると思います。スマート・エイジングというのは東北大学が使っている言葉で、賢く年をとりましょうという意味です。我々は、年をとることにマイナスのイメージを持ちます。これがアンチエイジングの考えのもとになっている「年をとることはネガティブなことだ」という考え方です。でも、年を重ねるというのは、いろいろなものが自分に積み重なっていくことですから、ポジティブでなければいけない。10歳の子どもが20歳になるのも成長だけれども、70歳の方が80歳になるのも成長です。10歳年をとったときに、自分が「成長しているんだ」と感じられるようにするために、私たちはどういう努力をしたらいいのかを研究しています。

――すでにいろいろなプロジェクトが進んでいるようですね。

川島 東北大学加齢医学研究所スマート・エイジング国際共同センターというところでは二つの事業に取り組んでいます。一つが「スマート・エイジング・カレッジ」です。市民の方々に東北大学の教員が通年型で市民公開講座を提供します。医学だけではなくて、哲学や栄養学なども取り上げます。哲学で力を入れているのが死生学です。

単なる市民公開講座ではなく、そこに大学院の学生も入ります。60代、70代の方を多く募っているのですが、その方々と大学院生が席を並べて、同じ問題について考える。9月からはゼミを開き、ゼミの中にも一般市民と大学院生が入って、あるテーマについて話し合います。世代を超えたコミュニケーションの機会を設けたいと思っています。

東北大学の大学院生たちは社会に出ると、役所に入ったり企業に入ったりして、これからの超高齢社会の対策を練る立場になります。ところが彼らは自分の祖父や祖母と一緒に住んだことがない。このカレッジでは、市民から学生たちに、いろいろな知恵や知識を与えてもらう。学生たちには、高齢者の方々はこういうことを考えているんだ、ここで困っているんだということを肌で感じてもらいたいです。

■賢く年をとるには、地域社会と関わることも必須条件

もう一つが「スマート・エイジング・スクエア」です。大学のスペースに高齢者に関する事業を手掛けている民間企業に入居していただく。民間企業は一般市民向けにサービスを提供するわけですが、我々が企業と市民の間に入って、市民の方々がサービスを利用することで、脳の働きや体力がどう変わるか、消費動向がどう変わるかなどを研究しています。我々の研究によって、例えば、「サービスを受けると脳の働きもよくなり身体も動くようになって社会参加が増え、おまけに消費活動も高まる」といった結果が見えてくれば、そうした事業を自治体に提案できます。

――スマート・エイジングという生き方を私たちがするためには何が必要なのですか。

川島 個人がスマート・エイジングを達成するためには4つの習慣が大事です。一つは頭を使う習慣。次が、身体を動かす習慣。三つ目はバランスの良い栄養を取る習慣。四つ目が社会とかかわり続ける習慣です。

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