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「継続型」は松田聖子1人 歴代アイドル歌手の軌跡

日経エンタテインメント!

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一時代を築いたアイドルたちも、その後にたどる道は様々だ。かつてアイドル歌手として華々しくデビューした女性たちは、どのように音楽活動を継続し、またどのように活動内容をシフトチェンジしたのだろうか。そのターニングポイントについて調べた。

下の図に、80年代から90年代にかけてアイドル歌手としてヒットを連発した主要アーティストのデビューから現在までの新曲リリースの有無と、その間隔について示した。まず、全体を見て気づくのが、これだけ大物を並べても、10年以上連続でローテーショナルに(継続的に)シングルをリリースしたアイドル歌手は皆無ということだ。

その要因としては、まず体力的な問題がある。アイドルは音楽活動だけでなく、CM出演やグラビア撮影、ドラマや映画への出演など過密スケジュールが日常であり長期間続けるのは困難だ。また、アイドルとしてのいわば"未完の輝き"を保ち、人気を維持する難しさ。さらには結婚や出産、子育てによる活動休止など、女性ならではのターニングポイントもある。

唯一無二のアイドル歌手

そんな逆境だらけの状況下で、ただ1人、デビュー以来30年以上、ほぼ毎年音楽活動を続けているのが松田聖子だ。彼女の場合、結婚や出産で活動をかなりセーブした時期ですら、オリジナルアルバムの発表やNHK紅白歌合戦への出場を果たし、またリリースが少ない年でも海外プロモーションや全国ツアーを重点化するなどで決して休んでいない。自身の再婚や離婚のタイミングですら、逆に新作リリースのPRに活用。かつては恋愛スキャンダルも騒がれたが、決して下世話なトークに走らずに可憐(かれん)な部分をアピール。2013年7月には、100回目の日本武道館ライブを実現。まさに永遠のアイドルといえる存在だ。

また、いくつかの障壁を乗り越えつつ、歌手活動を継続してきたのが「歌手復活型」。病気やトラブルにより活動が途絶えてしまった中森明菜(活動休止中でも関連作品が大ヒット)や、逆に長期にわたって育児優先とした後に音楽活動再開を発表した森高千里、さらには今年6年ぶりに活動を再開した華原朋美などタイプは様々だが、いずれもタレントではなく、歌手として復帰することをファンに期待されているのが特徴だ。

そしてアイドル時代に歌手と女優を両立させつつ、後に本格女優として成長を遂げるパターンが多いのが「女優シフト型」だ。ただし、小泉今日子は女優中心の活動でも、数年おきにコンセプチュアルなオリジナルアルバムを発表しているし、南野陽子は2012年、森口博子や西村知美とアイドルユニットBlooming Girlsを結成するなど、歌手活動を断続的に行うケースも。その一方で、90年代デビューのアイドル組は、もともと音楽への関心が薄いためか、現在は女優にシフトしたパターンが多い。現在は"なんでもアリ"な時代なので、今後企画作などで歌手として復活してほしいところだ。

「女優兼業型」の3人は、ローテーショナルなリリース期間は短いが、女優出身ならではの独特な表現力が信頼されているためか、歌手としての人気は今も根強い。

ママドル型が増える事情

「育児休業型」は、結婚や出産を機に、メディアへの登場が急減し活動休止しているタイプ。それでも、ライブビデオの復刻DVDがヒットした河合奈保子、化粧品のCMに出演した石川秀美、映画『サヨナライツカ』に主演した中山美穂と、その活動が希少だからこそ、話題になることも。

近年増えているのは「ママドル・バラドル型」。気ままに音楽活動を再開したり、情報番組でコメンテーターを務めたりするという印象が強いが、どの活動も突出していない。しかし、これもママドルの場合は家庭を優先してのことなのだろう。

以上のように、トップアイドルという同じカテゴリーにいた女性たちが、それぞれのターニングポイントを経て、大人の歌手、女優、バラエティータレント、そして主婦として、様々な生き方を選んでいることが分かる。それでも、彼女たちの多くが、(メディアで見る限りではあるものの)若きアイドル時代よりも幸せそうに見える。仕事や人生の選択は違ってもそれぞれに幸せの形があるようだ。

(ライター つのはず誠)

[日経エンタテインメント!2013年8月号の記事を基に再構成]

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