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いじめは防げる 予防体制を築いたスウェーデンの実績

スウェーデンから見る日本 高見幸子

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NIKKEI STYLE

 OECDの発表によると、女性の就業率が80%を超えるスウェーデン。女性議員の比率も45.0%と、日本の衆議院における女性議員の比率11.3%を大きく上回っています。女性が広く活躍するスウェーデンで40年近く暮らす筆者。現地での経験を生かし、日本の生活がさらに豊かになるためのヒントを、日本の女性からの質問に答える形で、一緒に考えます。
質問
 子どものいじめによる自殺が問題になっています。子どもの社会も、大人の社会も、いじめがなくなることはありません。競争し合うことも、弱肉強食の体質もなくならないのは理解しています。でも、自殺にまで至るとは…。国は、子どもの自殺があった場合、学校や教育委員会が主体的にその背景を調べるよう通知を出したとのことですが、滋賀県大津市の中学生の自殺の問題では、その調査がうまくいかず、事実が隠ぺいされたり遺族との対立を深めることになりました。子どものいじめを監視・抑制し、何か問題があった場合、原因を究明し再発防止に努めることが、学校や教育委員会に求められていますが、実際はうまく機能していないようです。
 10代のいじめ問題について、スウェーデンでの実態や対応はどうなっているのでしょうか? 日本のいじめ対策に欠けている視点を教えて下さい。(40歳・会社員・子ども1人)

スウェーデンでも、学校でのいじめはある

日本でいじめのために自殺をした中学生の事件について記事を読みましたが、本当に痛々しい話です。いじめは、どの国でもあります。スウェーデンの学校にもいじめの問題はあります。その実態を調べてみました。

スウェーデン教育庁が行った、2008年~2010年のいじめ調査報告書によると、スウェーデンでは、8%の生徒が1~2度いじめにあった経験があり、2%弱の生徒がよくいじめられている状況であると書かれていました。生徒300人の学校だと、21人が1~2度いじめにあい、6人が常にいじめられているという割合です。

これは、国際的に比較すると非常に低い比率です。数回に渡り30~40カ国といじめの比率の比較調査をした結果、スウェーデンはその中で最もいじめが少ない国という結果が出たと報告書にありました。スウェーデンの徹底したいじめ予防対策の成果が出てきたと評価していました。

いじめを個人の問題で終わらせない

スウェーデンのいじめ予防対策とはどのようなものかをご紹介する前に、そのバックボーンになるいじめに対する考え方を少し説明します。

一般的にいじめは、子どもたちの個人の問題としてとらえがちです。それゆえ、いじめた子どもといじめられた子どもの心理や家庭を調べて「いじめ」を理解することにスウェーデンでも長年フォーカスがされてきました。

近年、いじめの原因を、学校の状況へと広げて検証しました。その結果、例えば、1クラスの人数が多すぎる、権力の上下関係がある、年齢の差、出席の強制など、学校側にもいじめの要因があることが理解されるようになったのです。

いじめ、中傷、侮辱を学校の規律の問題として終わらせず、人権に関する犯罪として捉えられるようになりました。以前はいじめの解決策は、いじめの加害者を罰して態度を変えさせることだとされてきましたが、現在は、いじめは、学校法と差別法という法律と規制の違反行為と扱われ、その責任は自治体あるいは私立の学校の理事会が果たさなければなりません。

つまり、「学校でいじめられないこと」は子どもの権利として法律で守られるべきだと考えられるようになったのです。

この方針は、特に義務教育の小中学校において重要視しています。子どもがいじめにあわないようにオムブズマンの制度を導入しました(オムブズマン:国、地方公共団体等にかかわる不正・不当な行為を監視する中立的な組織)。

スウェーデンで成功している学校のいじめ対策

いじめが少ない学校は、何か特別な方法を導入しているというより、いじめ・中傷・侮辱がないように長期的・持続的な取り組みをしていることが特徴です。予防対策として、学校の雰囲気がポジテイブになるように、平等、寛容、民主的な価値感を推進しています。

それらの学校は、子どもが登校してから下校するまで安心して勉強ができる環境を作るように努力をしています。例えば、いじめを発見する対策として、休憩時間の監視システムがしっかり導入されています。監視する大人が子どもたちの遊びに積極的に参加し、いじめが起きやすい場所を把握しています。

先生や職員にいじめ対策に関する特別な役割が与えられており、いじめが起きた時に、調査し、対策し、フォローアップをする体制がどうなっているのか、先生にも生徒たちにも明解になっています。

継続的にいじめを把握・分析するためには、学校の校長・自治体がいじめに関心を持って予防体制を作り、それを発展させる力が非常に重要になります。

先生や生徒たちが、常に、学校の環境やいじめに関する問題についてよく話合い、いじめについての知識を高めることも重要です。

再び同じ悲劇を起こさないために、日本も、いじめを個人の問題に終わらせず、学校環境に視野を広げる必要があります。そして、子どもが学校でいじめにあうことを許さない「いじめゼロ対策」のシステム作りが求められていると思います。

高見幸子
1974年よりスウェーデン在住。15年間、ストックホルムの基礎学校と高校で日本語教師を務める。1995年から、スウェーデンへの環境視察のコーデイネートや執筆活動等を通じてスウェーデンの環境保護などを日本に紹介。2000年から国際NGOナチュラルステップジャパンの代表。現在、顧問として企業、自治体の環境ファシリテーターとして活動中。共著『スウェーデンは放射能汚染からどう社会を守っているのか』(合同出版)など。

[ecomomサイト2012年8月7日付記事を基に再構成]

[参考] 家族と自然にやさしい暮らしがテーマの季刊誌『ecomom(エコマム)』。2013年冬号では、「毎日の家事を『ラク・時短・楽しく』解決」「お正月を楽しむ わが家のしつらえ」「もっと知りたい!スマートハウスQ&A」などを特集。公式サイトで登録すると、無料で雑誌が届く。

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