例えば、K-POPがかっこいいとなると、そこからパソコンなどの韓国製品がすごくかっこよく見えてくる。それは60年代、70年代に、アメリカにあこがれて、アメリカ製のものが売れた図式とまるで同じなので、これは日本も国策として頑張らないとだめだと思うんですよ。資金的なことではなく、背中を押してくれるようなバックアップをしてほしい。

各国の大使館と一緒になって集客に協力してくれたり、あるいは海外での番組を作ることに、一緒に動いてくれたりしたら、状況は違ってくると思います。資金だとかえって、遠慮を生む可能性がある。お金をもらったことで、こういう表現はできないといった規制がかかったり、重荷になると思うんですよね。だからお金はいらないんだけれども、応援してほしいです。

フォーマット販売はできない

AKB48は世界的にフォーマット販売するんですかとか聞かれますが、できないでしょう。ただ、僕は何かが起きると思っています。AKB48は、ニューヨークに行っても、ロスに行っても、パリに行っても、初めはどん引きされるんです。「この子たち、こんなに歌がへたで、ダンスがへたで、何をしに来たの?」という目で見られるんだけれど、4曲目くらいから何だか分からないけど盛り上がる。

こんな若い子たちが一生懸命汗をかいて踊っているんだぞ、これは見たことないだろう、というのが面白いと思っているんです。それが実際、香港やマカオ、シンガポール、台湾、タイで受けているわけですから。「見たことがない」ということが、一つの突破口のような気がするんですよね。現地でオーディションをして、AKB48的なものをつくることも視野に入れていますが、それより先に、まずAKB48たるものは何かというものを見せていかないと。

まず台湾では、AKB48のテレビ番組が8月から始まる予定。初めはAKB48のメンバーが数名出演し、最終的に現地でオーディションをして、台湾版のAKB48をつくるという企画だ。

ロシアでも、現地でグループを作ろうとしているんです。狙いは、秋葉原のAKB48劇場で、「今日はモスクワ48公演です」というのをやること。それで今、台湾同様にオーディションの話が出てきているんです。

25年前のおニャン子クラブのときと絶対的に違うのは、インターネットです。今は手軽にネットで映像を見られるので、僕らが行く前からAKB48の存在を知っていて、シンガポールに行くと、そこに僕のファンまでいたりするわけです。初めて行ったところで、「AKB48を呼んでくれてありがとう」みたいなことが起こっている。だから、日本の経済がシュリンクしているなかで、こういう打ち上げ花火があると、盛り上がるんじゃないかなと思うんです。

韓国の『冬のソナタ』からの流れはすさまじかったし、1月の「SMTOWN LIVE in TOKYO」だって、すごかったじゃないですか。

当然K-POPも欧米を狙っています。彼女たちは英語の教育も受けていますしね。でも僕は、AKB48は英語がしゃべれないところがいいと思う。行くたびに少しずつ覚えていくところに、AKB48のヒントがあるような気がします。少しずつ英語が話せるようになっていく成長を、現地のファンは喜ぶんじゃないかな。少し前ですけど中国の「女子十二楽坊」とか、ああいうことが起こるんですよ、絶対。僕はAKB48に、ワンチャンスあると思っているんです。

(日経エンタテインメント! 吉岡広統、ライター 内藤悦子)

[日経エンタテインメント!2011年4月号の記事を基に再構成]

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