僕が言うのは生意気かもしれませんが、今のエンタテインメントは予定調和で、サプライズが仕掛けにくくなっているんです。その理由は、お金がかかるし、時間も制約されるから。

選抜じゃんけん大会だって、早い段階でメンバーが決定していれば、ミュージックビデオから、衣装、ジャケット、メンバーに合った何十曲もの楽曲の候補に至るまで、準備ができるわけです。でも、9月21日に日本武道館で決まるということにこだわると、すべての段取りを約2カ月でやらなくてはならない。これは大変だから普通はやらないんだなとは思いましたけどね。

また秋葉原に戻ればいい

でも、こういう冒険は、AKB48が存続する限り、やり続けます。メジャーになったことによって、動きにくくなってしまうことが一番危機だと思うんです。予定調和を壊すことを恐れてはいけない。ブームは必ず終わるわけですが、僕の中には、また秋葉原に戻ればいい、みたいな考えもありますし。

『Beginner』や『桜の木になろう』がミリオンを達成するなどCDセールスは絶好調。目標の一つである東京ドーム公演も夢ではないところまできている。いつ、どのタイミングで実施するかが注目される。

2011年2月16日発売の20thシングル『桜の木になろう』(上写真/キングレコード)。発売初週だけで過去最高の94.2万枚を売り上げた大ヒット作。秋元氏はこの曲を卒業ソングにしようと決めるや、是枝裕和監督(作品に『誰も知らない』『花よりもなほ』『歩いても 歩いても』などがある)にミュージックビデオを撮ってもらいたいと、夜中にすぐメールをしたという

たぶん、東京ドーム公演もできると思うんですけど、やり方が普通じゃつまらない。相当のことをやらないと。まだ早いですね。今年(2011年)はないかな。

AKB48は本当にロードマップがないんですけど、大所帯だとそういうわけにもいかなくなってきていて、コンサート会場だって押さえないといけない。そういう意味では、先行するところはあります。その分、常に新しいことを模索したい。例えば、前半がお芝居で後半が歌謡ショーとかね。

今まではアイドルのコンサートとしての勢いがベースでしたが、もっと作り込んだものにしたいんです。「今年は何々がテーマだったね」と話題になるような。

一番の問題はリハーサルの時間です。もともとずっとライブを繰り返しているので、コンサート自体はできるんですけど、演出も含めて作り込んでいくと、物理的な時間が必要ですから。

各メンバーにインタビューすると、秋元氏からメールでもらった言葉のエピソードがよく出てくる。それが時に彼女たちの励みになり、支えとなっている。

自分の役割は、野球の監督に似ていると思います。選手の力をチームの中でどう引き出すか。直接会う時間がなかなか取れないので、ここぞというときにはメールをしますが、2時間くらいかけて長文メールを送っても、「ラジャー」の一言で済まされたりして(笑)、分かったんだか、分からないんだか。でも、その後を見ていると、ああ、ちゃんと理解しているなという進歩が見えるので、それでいいんだと思うんですけどね。特別に誰というのはないけど、ライブやテレビ、雑誌などの発言、あるいはすれ違ったときの表情とかで、悩んでいそうだなとか、そういうときは一声かけます。

選抜メンバーで新たな手を打つと何かが動くので、例えば外れちゃった子には、あれはこういう意味だということを説明しておかないとな、とか。たかみな(高橋みなみ)には、「嫌われる勇気を持て」とアドバイスしたことがあります。まあ、本当に女子校の先生とかって大変だと思いますね。

全作詞はだんだん限界に

そう話す“秋元監督”は、総合プロデュースだけでなく、AKB48、SKE48、ソロユニットなどの楽曲すべての作詞を手がける。

だんだん限界にきているかもしれませんね。派生ユニットも増えているし、どこかではパート分けをしていかなければいけないかな、と思っているんですけど、SKE48はこういうイメージなんですよとか、あるいはNMB48は…、というように、今はまだひな型をつくっているところなので。楽をしちゃったらダメかなと。

結局はどこまでこだわるかじゃないですか。その一つひとつにこだわるのは大変ですが…。

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「海外で毎週ライブ」の構想も
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