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アート&レビュー
JAZZYカフェ

2014/7/16

JAZZYカフェ

ジャズで読み聞かせ

読み聞かせイベントでは、子供たちがストーリーに合わせて演奏されるジャズを楽しんだ(2013年、提供:島田奈央子さん)

私自身も子供たちにジャズに触れてもらおうと、約5年前から「読み聞かせJazzy」というイベントを企画しています。絵本の読み手はボーカリストで、演奏は生楽器。アドリブは二度と同じ演奏はなく、「1回目に見た時とココが違うよ」と指摘してくるお子さんも。なかなか鋭いんですよ。イベントの音楽プロデューサーはNHKEテレの語学番組のテーマ曲も手掛けるドラマーの平井景さん。「子供だからといって目線を下げないで、大人向けと同じクオリティーで作ろう」という信念で、曲はすべて書き下ろし、アレンジされています。

ゲームの電子音楽などに慣れた今の子供には、生演奏を聴いて音の振動を感じたり、イメージを膨らませたりすることはとても大事な気がします。ちまたでは「食育」が注目されていますが、ジャズで豊かな感性を育む「音育」もお薦めです。今年の夏はこの読み聞かせイベントは予定していませんが、また企画したいと思います。

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親子で聴きたいアルバム 年齢に関係なく楽しめるジャズの曲は意外に多いんです。特にディズニーやスヌーピーの曲は、これまでもアレンジされ、ジャズのスタンダードとして世界中で愛されています。今回はお子さんと一緒に聴きたいアルバムを紹介します。

ビル・エヴァンス「ポートレイト・イン・ジャズ」

ビル・エヴァンス「ポートレイト・イン・ジャズ」(ユニバーサル クラシックス&ジャズ)

伝説のジャズピアニスト、ビル・エヴァンスが演奏した、白雪姫の挿入歌「いつか王子様が(Some Day My Prince Will Come)」は美しいワルツの曲で、繊細な演奏は名演中の名演といわれています。あまりにも美しいメロディーとコード進行にジャズの大御所たちがこぞってカバーし、スタンダードとして根付いています。ディズニー映画ではなく、ジャズからこの曲を聴き始めたという人もいるのでは。実は私も、エヴァンスの演奏で知った1人。優しく、繊細なピアノのタッチから始まり、少しずつ波の上でゆっくりと揺られているような心地よさを感じてうっとり。特に女性人気が高く、アメリカ映画協会は映画史上最も偉大な100曲にリストアップしています。

クラシックの影響を受けているエヴァンスだけに、ひと際美しいメロディーにかき立てられるものがあったのでしょう。生涯を通して何度もこの曲を演奏し、名演奏を残しています。ディズニー映画の原曲には歌詞が入っていますが、エヴァンスはピアノトリオで奏でるインストゥルメンタル。聴き比べながら、ジャズならではの崩し方や、表現方法の違いを楽しむのもよし、曲と演奏の美しさに浸るのも最高です。子守歌がこの曲だったら、お姫様のように、おしとやかな女性に育っていた、かもしれませんね。

小林桂「星に願いを」

小林桂「星に願いを」(ポニーキャニオン)

甘いマスクと優しく包みこむような歌声で、特に女性人気の高いジャズボーカリストの小林桂さん。昨年、音楽生活20周年を迎えた彼が作ったアルバムは、ディズニー映画のソング集でした。「子供のころから大好きで、思い入れの深い作品をいつか自分の歌で形にしたい」と、ずっと大事に温めていたという入魂の作品。ディズニー映画といえば今は「アナと雪の女王」が人気ですが、彼が選んだのは「シンデレラ」や「ジャングルブック」など、1930~40年代の作品。この時代はウォルト・ディズニー自身が音楽に関わり、情熱を注いだものが多いといわれています。

世界で愛され続けるディズニー・クラシックスを、このアルバムではピアノ、サックス、ベース、ドラムと、ジャズでいう「カルテット」編成で演奏。しっとりとした美しいバラード曲もありますが、中には陽気なデキシーランド風ジャズもあり、自然と踊りたくなってきます。そして実はアルバムの音全体のアレンジを担っているのは、小林さんの父である小林洋さん。父と子ならではの、温かい愛のある音創りから、和やかな雰囲気も伝わってきます。

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チャランガぽよぽよ 『チャランガぽよぽよ』