大物バンド再結成ブームの裏側にも「仲間力」日経エンタテインメント!

実は6年前から、ひそかに「バンド再結成現象」が起きていたりする。JUN SKY WALKER(S)や筋肉少女帯、SHOW-YAといった、1980年代末以降のバンドブームを彩った懐かしい面々の、復活ライブやら同窓会ライブやらが発端だ。

そして「ドタバタの美学」っぷりが記憶に新しい、08年03月X JAPAN@東京ドーム3日間公演がにぎやかな起爆剤となり(プロモーションビデオの公開撮影など、活動は2007年10月より再開)、ユニコーン、バービーボーイズ、LUNA SEAといった「伝説の大物」が、やたらよみがえり続けている。

再結成したらしたで、パチンコやら海外ツアーやらと解散前よりにぎにぎしいX JAPAN (c)アフロ

再結成の動機づけは、「デビュー○周年」や、哀愁の中年感漂うなぜか「誰かの生誕40年」、また病に倒れたメンバーの支援目的など千差万別。しかしおおむねどの再結成も、熱烈なファンだった思春期を思い出す「元バンド少年少女」たちに歓迎されているようだ。なにしろ、チケット即完売の再結成ライブが目白押しなのだから。

そういう意味では、かつて再結成がブームとなったフォーク/ニューミュージックや70年代洋楽ロックと同様に、「あの」バンドブームも立派な“懐メロ”の仲間入りを果たしたのであった。

そして、この再結成熱こそが例の仲間力の証し――と続けば美しい話なのだろうが、そうはいかないから人生って面白い。

再結成日は復活ライブを基準としたが、他に公式な再活動日や大きな活動があったグループに関しては、その日にした (作成:市川哲史)

友だちスタートの限界

当たり前の話だが、そもそも再結成とは解散したバンドにしかできない芸当だ。すると、「ではなぜ解散したのか」という話になってしまうのである。わはは。

離婚事由が「性格の不一致」に集約されるように、バンドの解散事由もまた「音楽性の相違」というざっくりした一言で片付けられてきた。しかし私の知る限り、どの場合も誰か(もしくは皆)のエゴが「磁場」を狂わせた結果だ。

そもそも日本のバンドの大半が、友だち同士からのスタートだったりする。すると活動するうちに「たまたまこのメンバーだったこと」にふと気づき、「この戦力なんだからこうするしかしょうがないわ」という発想に陥ってしまう。するとエゴの強い者たちは「俺が俺が」と暴れ争い、エゴの弱い者たちは「君が君が」と依存しまくるのだ。そりゃ人間関係ゆがみます壊れます。あくまでも一般論だけども(失笑)。

それだけに、ファン同様の懐かしさで一夜限りの再結成ライブや期間限定の再結成ツアーは実現できても、「新作」を作り上げられるほどのきずなや音楽性の一致など望めるはずもない。実際、かつての洋楽大物バンドたちの再結成アルバムに名盤が存在しない歴史が、証明済みだろう。

というわけで結果的に、多くの再結成バンドがライブ限定なのは正しい。誰も新作など期待していないのだから。音楽ユーザーの対象が、CDや配信からライブに移行しつつある現状にも「偶然」即していたりするのだ。おお、見事なビジネスモデルじゃないか。

にしても「仲間力」の裏返しと考えれば、再結成ブームもその恩恵下にあるのかもしれない。

(音楽評論家 市川哲史)

[日経エンタテインメント!2010年12月号の記事を基に再構成]

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