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楽しいノンフィクション「エンタメノンフ」って知っていますか

日経エンタテインメント!

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 エンタメノンフという言葉を知っていますか。正しくは「エンタテインメント・ノンフィクション」。作家の高野秀行さんが提唱している新ジャンルで、人とは違う視点で見た物事を面白く工夫して書いているノンフィクションを指します。近年、様々なメディアで取り上げられることが増え、文芸界で存在感を強めています。この新分野の注目作を、高野さんに10冊選んで紹介してもらいました。

高野まず最初に挙げたいのは宮田珠己(みやたたまき)さんの『晴れた日は巨大仏を見に』。巨大仏は昔から各地に普通にあるものなのに、彼が面白く取り上げたことで、すごく変な物なんだとみんなが気づきました。日常の新しい見え方を提示して、笑える読み物としてのレベルも高い。本人は「エッセーを書いてるだけでルポルタージュじゃない」と謙遜していますが、彼こそエンタメノンフの代表作家でしょう。

内澤旬子(うちざわじゅんこ)さんの『飼い喰い』も素晴らしい。ご本人が豚を飼って実際に食べるまでを記録したドキュメントです。彼女は天然でおかしい人(笑)。何の得もしないけど、私自身が納得したいのだ! という、取材対象へのねじまがった行動力と執念は、大いに見習いたいです(笑)。『飼い喰い』は内澤さんの「と畜場に送られる前の家畜がどのように生きているのかを知りたい」というまじめな欲求が突き抜けていて、本当に面白い。内澤さんも、物事の見方を変える何かを提示してくれる作家です。

高橋秀実さんの『ご先祖様はどちら様』も笑える傑作。この作品で高橋さんは小林秀雄賞を受けられています。エンタメノンフも文壇で出世したなぁと、ひそかにうれしいです(笑)。

本人は否定されるかもしれませんが、『オカルト』の森達也さんも、エンタメノンフの作家だと思っています。彼はオウム真理教や歴史上の事件を丹念に調査しながら、結論は導かず、常に曖昧さを残している。答えの出ない問題の前でうろうろさまよっている様を、カッコつけずにさらしてる感じが、いい意味で笑いをさそいます。

売れた作品では『オシムの言葉』。著者の木村元彦さんは硬派のジャーナリストですが、物事を分かりやすく整理して伝える能力が抜群。オシムの哲学的な話を、味わい深いテイストで伝えている。平易な言葉で、きちんとサッカーの本質に踏みこんでいるのも見事です。

「夏休み原理主義」を掲げる

僕の弟子にあたる大野更紗さんの『困ってるひと』もベストセラーになりましたね。彼女は1作目で大成功した、エンタメノンフ界の期待の星。いま2作目を執筆中なので、そちらも楽しみです。 『TOKYO 0円ハウス 0円生活』の坂口恭平さんも注目の若手です。彼は本業が建築家で、ホームレスの手づくりの家の高い機能性に着目している。ホームレスを社会問題ではなく、学問的にとらえようとしているスタンスが目新しいです。

鈴木智彦さんの『ヤクザ1000人に会いました!』も斬新。ヤクザたちに「なんでヤクザになったの?」と正面から聞いて、アンケートにまとめた人は彼ぐらいでしょう。キワモノは雑に扱うと読み物としてひどいことになる。その点、鈴木さんは真剣なのがいい。構成もうまく、一般読者への見せ方も考えぬいています。

作家の本ではありませんが、春風亭柳昇の『与太郎戦記』も薦めます。太平洋戦争を一兵卒の目からリアルに描いた自叙伝です。むごたらしい体験を、落語家らしい洒脱(しゃだつ)なテイストで語っています。小難しい戦記より、よほど戦争を実感できる作品です。

海外作品ではダグラス・アダムスの『これが見納め』。絶滅危惧種の生き物たちを見に行く紀行録です。ダグラスは動物たちを守るべきだとは思いつつ、絶滅に追い込んでいるのは自分たち人間だという矛盾に閉口します。その絶滅危惧種をわざわざ見に行っている自分自身を、シニカルに落として描いている語り口に好感が持てます。

僕たちエンタメノンフの作家は、社会へ問題提起したいわけではありません。僕は「夏休み原理主義」を掲げています。夏休みの自由研究の延長みたいに、面白いものを見て、面白く伝えたい。未確認生物をテーマにした本の場合でも、細かい分析や検証は、あえてしません。そうすることで発見話のダイナミズムが失われることもありますしね。本当に怪獣がいるのかどうかなんて、実は大事じゃないんですよ。ただ面白そうなものを探して、ふらふら夏休みの旅を楽しむように、これからも書いていきたいです。

(ライター 浅野智哉)

[日経エンタテインメント!2012年8月号の記事を基に再構成]

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