ヘルスUP

健康づくり

懐かしき和式トイレの意外な「効能」

2013/5/5

ゴッテスマン博士のアドバイスは、ずばりこうだ。

「トイレで小説を読まないことです。小説を書くのもだめ。その習慣を続けていたら手術を受けることになりますよ。痔の手術なんて楽しいものじゃありません」(『健康男』より)

この忠告を受けて、ジェイコブズがたどり着いた結論は、「究極的に健康なトイレ習慣を目指すのなら、そもそも腰掛けるべきじゃない。しゃがまなくちゃいけない」というものだった。

彼の独自のリサーチによると、腰掛け式のトイレが発明されたのは16世紀で、比較的最近のことだ。そして、そもそも「我々の体はトイレで腰掛けるようにはできていない。野外でしゃがむようにつくられている」という。

腰掛けて排便するとしゃがんだ場合より腸にかかる緊張が大きく、痔ができやすくなる。この問題はいくつかの医学研究で取り上げられている。

イスラエルの研究者たちは、プラスチック製容器の上にしゃがんでした人と、トイレに腰掛けてした人を比較した。しゃがんだ人の所要時間は1回当たり平均51秒。腰掛けた人はなんと130秒だった。しゃがんだ人は腰掛けた人より排便が楽だとも答えた。(『健康男』より)

では、どうしたらいいのか。家の洋式トイレをなんとか「しゃがみ式」できないかと思案したジェイコブズは、ネットで画期的な製品を発見し、早速注文した。

インターネットで補助具を見つけた。「ネイチャー・プラットフォーム」という名前だ。需要が多いのか、売り切れになっている。
ともあれ僕は注文した。すると数日後にそれは届いた。折りたたみ式の金属フレームに白いプラスチック製の板が乗っていて、バレーボールぐらいの穴が開いている。組み立て式だ。自分で組み立てて、トイレにかぶせ、上によじ登り、そしてしゃがむ。要するに、米国標準のトイレを第三世界式の地面の穴に変えるわけだ。
ジェイコブ氏が使用している「しゃがみ式トイレ」。和式トイレを彷彿とさせる

真ん中に穴が空いた座椅子のような補助具を、洋式トイレの便器を覆うように設置すると、「しゃがみ式トイレ」の出来上がりだ。

トイレでしゃがむ光景は中年以降の日本人にはおなじみだが、座る方向は逆。当然、米国人のジェイコブズは「和式トイレ」のことを知らない。彼も彼の妻のジュリーもこのトイレを気に入ってしまった。確かに、トイレで費やす時間が短くなる効果があるし、「トイレで何かを読むのは危険なアクロバットと化してしまった。本なんて論外だ」と感想を述べている。

最近、和式トイレを見る機会がめっきり減った。新築の住宅やビル、公共施設などには必ずと言っていいほど洋式トイレが採用され、古い建物の和式トイレもリフォーム時に入れ替えられ、和式比率は下がる一方だ。洋式トイレの経験しかない子どもも増えている。だが、ひょっとしたら将来、痔になる危険性を下げてくれるということで和式トイレが見直される時期が来るかもしれない。

(日経BP社 沖本健二)

健康男~体にいいこと、全部試しました!

著者:A.J. ジェイコブズ
発行:日経BP社 発売:日経BPマーケティング
価格:1,890円(税込み)

ヘルスUP 新着記事

ALL CHANNEL