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懐かしき和式トイレの意外な「効能」

2013/5/5

 健康診断の時期が近づくと、急に運動を始めたり、食事に気を遣い始めたり……。健康維持への意識はあるものの、実際には忙しくて何もやっていない人が意外に多い。米人気ライフスタイル雑誌「エスクァイア」の編集者、A.J.ジェイコブズ氏もその一人だった。しかし、海外でバカンス中に急病で入院したことを機に一念発起。「世界一健康になる」と決意し、最新健康法に次々と挑戦した──。100以上に及ぶ健康法体験を記録した同氏の著書『健康男』から、健康法の見極め方と実践法を学ぶ。第2回のテーマは「お通じ」。米国人の7割は生涯のうち1度は痔の手術を受けるという。そんな事態を避けるヒントが和式トイレにあった。

 あなたはトイレの個室に入った時、何をしていますか。トイレの個室は、独りになれる空間であり、物事に集中できるような気になる場所だ。数分の間、腸や肛門は一生懸命働くが、お腹から上の部分は基本的に暇なので、ついつい、本や雑誌を読んだり、携帯やスマホをいじったりしてしまう。そして、気がつくと「長っ尻」になることも珍しくないという人が多いのではないか。

 ちなみに、戦国武将の武田信玄はトイレで作戦を考えたり、書状をしたためたりしていたと伝えられている。信玄が住んでいた躑躅ヶ崎館(つつじがさきやかた)のトイレは京間6畳の広さがあり、便器の周りに畳が敷かれ、水洗式だったそうだ。

 雑誌編集者のA.J.ジェイコブズも、トイレで雑誌を読むことをこよなく愛していた。「長っ尻」は古今東西を問わず、人はトイレの時間を有効に活用しようとしてきたわけだ。

 しかし、世界一ヘルシーを目指す男にとって、そこに、健康の大きな落とし穴があった。

 大腸の触診をしてもらうため、ニューヨークで有名な肛門専門医、レスター・ゴッテスマン博士のクリニックを訪ねたときのことだ。

 「そこに膝をついて。パンツを下ろしてうつぶせになって」とゴッテスマンは言った。
 僕は言われた通りにした。
 「どのくらい痛いです?」と僕は自分の肩越しに尋ねた。
 「そんなに痛くはないよ。痛いのがお望みなら別だけど」
 僕は半分鼻を鳴らし、半分笑った。肛門専門医になるにはこういう受け答えを10個以上暗記しないと試験に合格できないのかな、と考えた。
 検査の後(それは僕の「お望み」よりずっと痛かった)、診察室でゴッテスマンの説明を聞いた。僕は机を挟んで彼と向かい合っている。彼はちょっと難しい顔をしている。
 「トイレで本や新聞を読みますか?」
 「もちろん」と僕は言った。「みんなそうでしょ?」
 「やっぱりね。かなりひどい痔がありますよ。すごく大きくはないけど、小さくもありません」
(『健康男』より)

 なぜ、トイレで本や新聞を読んでいると痔になりやすくなるのか。それは、1)本を読んでいると気が散って、トイレで座っている時間が長くなる、2)トイレで長く座っていると肛門管の静脈が膨らむ、3)この膨らんだ静脈が大きな痔になる、というわけだ。米国人の7割が生涯に1度は痔になるという。実際に痛みなどの症状を訴えて治療する人の数はもっと少ないが、痔核を保有している「潜在痔主(じぬし)」の数は日本でも同程度と言われている。

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