洋画と邦画、同じ料金・価格ならどちらがもうかる?日経エンタテインメント!

邦画の場合、1800円の入場料でもうけは1割

一方、映画の入場料金1800円の収益構造は、上映スクリーン数、P&A費(デジタル上映費+宣伝費)、全国興収の金額によって大きく変わってくる。上映スクリーン数300でP&A費に3億円をかけ、全国興収10億円を稼いだと仮定して検証してみよう。

劇場の取り分(劇場収入)が50%。邦画大作の配給手数料の料率はP&A費の負担方法によって異なり、配給会社がP&A費を負担しないケースを一例とする。この場合、劇場収入を引いた50%=5億円の配給収入に、配給手数料率20%をかけた1億円(全国興収10億円では10%に相当)が配給手数料となる。P&A費の3億円(興収10億円の30%に相当)を引き、残った1億円(10%)がもうけだ。

これらの比率を入場料金1800円に当てはめると、劇場収入900円(50%)、P&A費540円(30%)、配給手数料180円(10%)、もうけ180円(10%)となる。

洋画は配給手数料含め、入場料の2割がもうけに

もうけは製作費の回収後、出資した会社で分配される。ただし、邦画大作ともなると製作費は数億円にのぼることもあり、もうけが1億円では製作費を回収できない可能性が高い。この場合はDVD収入やテレビ権収入を含めて製作費を回収することになる。

なお、映画界の慣習で配給手数料は固定の金額ではなく、配給収入に料率をかけた金額になる。ヒットすればするほど配給会社がもうかる仕組みになっている。配給会社は製作費を出資したり、P&A費を負担しない限り、損をすることはない。

これに対して洋画大作の場合、配給手数料を含めたもうけがハリウッドの映画会社の収入となる。世界中から集まった収入で製作費を回収するため、アクション大作ともなると1億ドル(100億円)以上を製作費に投入できる。

なお、P&Aとは元来「プリント&アドバタイジング」の略で、フィルムのプリント代と宣伝費のことだ。現在はデジタル上映が大半でフィルムを使っていないことから、「P=フィルムのプリント代」ではないが、P&Aという用語がそのまま使われている。

邦画、洋画とも、上映スクリーン数300、P&A費(デジタル上映費+宣伝費)3億円、全国興収10億円と仮定。邦画大作の配給手数料は、P&A費の負担方法によって異なり、上記は一例

(ライター 相良智弘、日経エンタテインメント!編集部)

[日経エンタテインメント! 2014年5月号の記事を基に再構成]

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