難しい定年後の「地域デビュー」 50歳から準備をシニアライフアドバイザー 松本すみ子氏

2012/10/5

集まれ!ほっとエイジ

高齢者の孤立などを防ぐために、新しい地域コミュニティーが求められている。そこで活躍が期待されるのが定年後のシニアだ。しかし、シニアの男性は「地域デビュー」が苦手。どうすれば、シニアたちは地域活動に参加するようになるのだろうか。「地域デビュー指南術~再び輝く団塊シニア~」の著者であるシニアライフアドバイザーの松本すみ子さんは、まず地域を歩き、そのなかで「自分ができること」を見つけることが大切と言う。

――シニアの地域デビューと聞いてまず頭に浮かぶのは、定年退職後、家でごろごろしている男性に、奥さんが町内会の仕事やゴミ出しなどを頼むという光景なのですが。

まつもと・すみこ シニアライフアドバイザー、産業カウンセラー、キャリアコンサルタント。早稲田大学第一文学部卒業。IT業界勤務を経て、2000年、有限会社アリアを設立し、代表。02年、団塊世代を中心としたコミュニティーを組織し、04年NPO法人として認定され、理事。自治体、各種団体、企業、メディアなどで、シニア世代に関するコンサルタント、シニア市場動向調査、講演・セミナー、定年準備講座の企画運営、執筆などを行っている。著書に「地域デビュー指南術~再び輝く団塊シニア~」、「そうだったのか!団塊マーケット」などがある。

松本 「地域」というと自分の住んでいる家の周りをイメージされる人が多いですが、社会全体のなかで「地域」を考えてほしいのです。社会には企業が活動する場もありますが、市民が生活を営む場もあり、それが地域だと思います。両方がうまくやっていかないといけないわけです。そして、地域社会のなかで、リタイアした人がどのような役割を果たしていくかというのが、今後重要になってくると思います。

定年退職者が集まり、空き工場でベーカリー開業

――自分はあの地域が好きだから、どうにかしたい、ということでもいいわけですね。

松本 群馬県桐生市で定年退職した人たちが集まって、使われていないノコギリ屋根の繊維工場を利用して素敵なベーカリーを開きました。それが市民に評判となり、ついには街の観光名所になってしまいました。行政で発想できなかったことを、個人の「何とかしたい」という思いが実現させたのです。彼らは桐生の産業遺産を生かした観光ルートを作り、観光案内までやっています。

――教育、介護、医療などでは、財政が悪化して今後は行政に頼ってばかりいられなくなり、地域で担う部分が多くなると思います。地域デビューをして行う活動は、社会貢献活動と言い換えてもいいのでしょうか。

松本 社会貢献しつつ、ちょっとした経済活動もでき、ある程度の収入があるというような活動をリタイアした人ができるような社会がつくれたらいいなと思っています。

社会奉仕と収入の喜び、どちらも大事

――社会貢献というとボランティアというイメージがありますが、そこに経済的な側面も加われば、ビジネスマンを長くやってきた男性にとってはやりがいも出てきますね。

松本 喜びも倍増すると思います。社会に奉仕する喜びと、お金も入ってくる喜び、私はどちらも大事だと思っています。

――しかし、会社を定年退職して地域デビューするケースは、そんなに多くないですね。

松本 あまり、うまくいっていませんね。一生懸命仕事をされていた人ほど、地域を知らないので、「何をするのだ」と思ってしまいます。地域デビューというと、無料奉仕で、福祉関係の活動をしなければならないと思ってしまうようです。実際は、もっと自分の特技や趣味を生かせる可能性が広がっているのですが。

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