薬局・ドラッグストアの店頭で血液検査が可能に
2014年4月から、臨床検査技師法の一部が改正され、薬局などで血液検査が可能になった。通常、血液などの生化学検査を行うには「衛生検査所」の登録が必要だが、被検者が自分で採血し、その血液を診療に用いない場合はグレーゾーンとされ、店頭での検査の可否は管轄の保健所判断に任されてきた。
今回の規制緩和で、簡易検査を希望する機関が「検体測定室」の届け出をし、検査を受ける人が自分で採血するなど一定の条件を満たせば、薬局店頭でも血液検査を行えることになった。
店頭で測定可能な項目は、特定健診の血液検査で確認できる「血糖値」や「HbA1c」「中性脂肪」「肝機能」など8項目(次表参照)。被検者が自分で指に細くて短い針を刺して採取した微量の血液があれば、数分で測定できる。
測定する薬剤師は、検査結果と測定項目の基準値は伝えてもいいが、それに基づく「診断」は行えない。病気の疑いがある人は医療機関の受診や健康診断を薦められることになるため、薬局と地域医療機関との連携も進むと考えられている。
糖尿病の早期発見・早期治療のためのプロジェクトを立ち上げ、東京・足立区や徳島県の薬局店頭で、糖尿病の指標となるHbA1cの無料測定を実施してきた筑波大学内分泌代謝・糖尿病内科の矢作直也准教授は「店頭での血液検査は、生活習慣病の早期発見・早期治療の大きな足がかりとなる」と話す。
2008年、生活習慣病の早期発見を目的に特定健診がスタートしたが、その後の受診率は伸び悩んでいる。なかでも働き盛りの世代や女性の受診率が低いという。買い物ついでに薬局店頭で検査できるようになることで、「これまで健診に足を運ばなかった層にとって血液検査が身近なものとなる。生活習慣病の早期発見はもちろん、健康への意識を高めることにもつながるのでは」と矢作准教授。
既に1項目につき500円で実施している店があるが、検査項目や価格は店舗により異なる。
今後、導入する薬局・ドラッグチェーンは増えそうだ。
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筑波大学 内分泌代謝・糖尿病内科 教授。東京大学医学部卒業後、同大学特任准教授を経て現職。糖尿病の早期発見のためのプロジェクト「糖尿病診断アクセス革命」の事務局代表。食事による遺伝子発現調節機構を研究中。
(日経ヘルス 堀田恵美)
[日経ヘルス2014年7月号の記事を基に再構成]
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