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子どもの学び

聖光学院、センスだけでは解けない算数入試の狙い 入試問題でわかる 名門中学が求める子ども(3)

2013/11/21

入試問題は、いわば「わかる子にだけわかる暗号」。正解に至るための暗号を一つひとつ解いていけば、そこに込められた学校からのメッセージが見えてくる。そして、受験生たちはその暗号を解くために、勉強をしているといえる。本企画では、毎回1校に、実際の入試問題に込めた狙いを聞く。そこから、各校の学力観・教育観を明らかにしていく。

今回紹介するのは、神奈川御三家の一角、聖光学院中学校(以下、聖光学院)。

1958年創立と、比較的新しい。カソリックの修道会を母体としている男子進学校だ。同じくカソリック系の学校であり、神奈川御三家といわれる栄光学園と比較されることが多く、東大合格者数では毎年「抜いた、抜かれた」が話題になる。

かつての聖光学院を知る親世代の中には、青白き秀才が集まる進学校というイメージがあるかもしれないが、昨今はだいぶ変わってきている。「里山の自然」「裁判の傍聴」「釣り体験」などの体験学習を行う「聖光塾」や、「声楽」「陶芸」「演劇」などを体験する「選択芸術講座」にも取り組み、幅広い人格形成教育に力を入れている。

同校の入試は例年2月2日と2月4日の2回行われている。

■いきなりテクニックに走ると泥沼にはまる

6月の「聖光を語る会」で配付される「中学入試問題資料」の「算数」のページには、次のようにある。

「小学校時代は算数のセンスがあって算数はよくできただろうと思われる子が、中学以降の数学で振るわなくなることがあります。この最大の原因は、自分のセンスだけに溺れて地道な労力を惜しんでしまうことです。(中略)粘り強くがんばることができる小学生が『勉強してよかった』と思うような入試にしたいと考えています。」(聖光学院 「中学入試問題資料」より)

実際、同校の算数の入試では、最終的な解答にいたるまでの過程で幾重もの計算をしなければいけない問題や、線分図やグラフを用いて状況を整理しながら解く必要のある問題などで、思考過程そのものを記述させることが多い。粘り強さと丁寧さを試しているのだ。

「最終的な解答が正しくても、あまりに作図がいい加減だったり、言葉の表現で不適切だったりすれば減点しています」と数学科の名塩隆史教諭。逆に結論にたどりつかなかったとしても、正しい式や図を使い、丁寧に粘り強く解いていることがわかれば部分点を与えるようにしているという。

聖光学院らしい問題として、名塩教諭が教えてくれたのが、2013年第1回入試算数第3問。規則性・数え上げの問題だ。全問正解者はそれほど多くはなく、合格者と不合格者で大きく差が付くところだという。「丁寧に数えれば、少なくとも1問は正解できるはずなのに、全問不正解者も多い」と名塩教諭は嘆く。

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