北欧発 人生を記録するウエアラブルカメラ
あのときのあの光景を残しておいたら、どれだけよかっただろうか。そんなふうに後悔した経験はないだろうか。「目の前の光景を自動的に記録してくれたらいいのに」と思う人もいるだろう。それを可能にするのが、「ナラティブ・クリップ」だ(図1)。
ナラティブ・クリップは、2012年にスウェーデンのナラティブが開発した3.6センチ四方の小型カメラ。ポケットや襟にクリップで留めておくと、自動的に目の前の情景を撮影してくれる。自分でシャッターを押す必要はない。
本体をダブルタップして動作開始。あとは30秒ごとに1枚、自動で撮影してくれる。見たもの、行ったところ、一緒にいた友人などをごく自然に記録できるのが特徴だ。いわゆる、「ライフログ」と呼ばれる、人生をそのまま記憶する道具として使える。
服に留めるときは、どんな向きでもOK。本体内蔵の3Dジャイロセンサーで上下を判断し、適切な向きで撮影してくれる。本体には8ギガバイトのメモリーを内蔵しており、約4000枚の写真を保存できる。丸一日は余裕の容量だ。
ベストショットを自動選出
撮影した写真は、ナラティブ・クリップをパソコンに接続して、クラウドにアップロードする(図2)。基本的に、画像の閲覧や管理には、スマートフォン(スマホ)を使う。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を通じて友人と共有することもできる。撮影した写真でアルバムを作る機能もある。
また、ベストショットを自動的に選び出してくれるような設定も可能。この機能を使えば、膨大な写真から不要なものを手作業で削除するといった煩わしさから解放される。
ただ、プライバシーについては懸念が指摘されている。家族や友人ばかりならまだしも、ナラティブ・クリップを動作させている限り、仕事上のミーティングに同席した人や、街で行き交った見知らぬ人も写してしまうためだ。
米グーグルが開発した眼鏡型端末「グーグル・グラス」などでも同様の問題が指摘されている。今後、何らかのルールが整備されることにはなるだろうが、今のところはユーザーのモラルに任されている状態だ。
(ライター 瀧口範子)
[日経PC21 2014年5月号の記事を基に再構成]
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