子どもの「ネット依存」 対策の先進国「韓国」に学ぶ大人にも忍び寄る「ネット依存」傾向と対策(1)

「インターネット依存(ネット依存)」の中高校生は全国で推計51万8千人に上ると2013年8月1日、厚生労働省の研究班が公表した。「ネット依存」とは、スマートフォンやパソコン、オンラインゲームなど、インターネットのサービスを長時間使い続け、なかなかやめられず、健康や生活に支障が出ている状態のことをいう。中でも、幼児、青少年、主婦も蝕(むしば)む新タイプの「中毒疾患」には注意が必要だ。「ネット依存治療先進国」韓国での取り組みなど、最新事情をリポートしよう。

2013年5月、携帯電話の操作に夢中になるあまり、小学5年生の男児が東京のJR四ツ谷駅ホームから転落した。歩行中に携帯電話やスマートフォンを操作したための事故は後を絶たない。その中には、片時もソーシャルネットワークやオンラインゲーム、チャットなどへのアクセスを止められないために体調や生活に支障をきたす「ネット依存」の人もいる。

食事中やトイレに入っている間でさえゲーム

首都圏に住む主婦Aさん(49)は携帯電話を使ったゲームに熱中し、ネット依存になった。片手でできるので食事中やトイレに入っている間でさえゲームをし続けた。人気のあるオンラインゲームは多人数同時参加型で、ネットの中で知り合ったプレーヤー同士で助け合い励ましあったり、対戦するなどのコミュニケーションができたりする。Aさんは、現実社会よりもネットの中が日常のような錯覚に陥り、ゲームに費やす時間が増えていった。

「会ったこともないネット上の仲間に対し、『自分が抜けては迷惑をかける』と義理を感じてしまい、良くないと思いながらも、1日20時間、オンライン状態のままゲームの場を離れられなくなった」(Aさん)

親の力だけではネット依存は食い止められない

オンラインゲームができるのは、携帯電話やスマートフォン、パソコンだけではない。

中高一貫の進学校に通う高校3年生の男性Bさん(17)は、中学生のころから、人気ゲーム機の「プレイステーション3」を使ったオンラインゲームに夢中になった。世界中のユーザーと四六時中対戦・協力しながらゲームができるため、日常生活は昼夜が逆転。朝、学校へ行く時間に起床できなくなり、高校へ進学したころからは不登校になった。母親がゲームをやめさせようとすると暴力を振るい、その後、急に電池が切れたように飲食、入浴も一切せず、うつ状態に陥ったという。

現在は、本人がゲーム依存を自覚したことで時間を区切ってゲームをするようになり、親に暴力は振るわなくなってはいる。しかし、学校へ行けない日もまだ多いという。

「まさか、単なるゲーム機で息子がネット依存、そして不登校になるなんて思ってもみなかった。学校の成績が伸びなくても、ゲームの世界では一番になれて自己実現できるのも息子にとっては魅力だったようだ。いまはスマートフォンでもオンラインゲームができるが、親はオンライン機器やゲームの進化スピードについて行けない。子どもを何とか助けたいと思ってあれこれ手を打ってみるものの、過保護なせいではないのか、育て方が悪いなどと身内に責められ、私自身もとてもつらい。親の力だけではネット依存は食い止められない」とBさんの母親は漏らす。

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ネット依存が原因で、欠勤、引きこもり、うつ、低栄養
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