関西人の「もったいない」精神が生んだ紅ショウガ天鮮やかな赤が食欲そそる

続いて関西の伝承料理を研究している奥村彪生(あやお)さんを訪ねた。奥村さんは「大阪商人の合理性がカギ」と分析する。どういうことか? 一つは鮮やかな赤色だという。店頭で紅ショウガ以外の天だねだけでは色味がさびしい。「食欲をそそる色、赤い紅ショウガ天を並べるだけで客の食いつきが変わる」と奥村さん。

ショウガを刻んで練り込んださつま揚げは枡千の人気商品のひとつ(兵庫県尼崎市)

さらに重要な背景を教えてくれた。いらない物を再利用する「始末の文化」だ。梅干しをシソの葉を入れて漬けると梅酢が残る。関西では捨てずにショウガを漬け込んで保存食にし、天ぷらなどに活用してきた。「京都を中心に広がった関西人の心」という。

兵庫県尼崎市でかまぼこ店「枡千(ますせん)」を営む尾上俊一さんは「うちのショウガ天は始末の文化を代表するような食べ物ですよ」と話す。安政年間(1854~60年)創業の老舗で、ショウガを入れたさつま揚げを販売してきた。

関西では天ぷらというと衣揚げとさつま揚げの2種類があるという。「江戸時代から売っていたみたいです」と尾上さん。ショウガ天を揚げながら、「昔はさつま揚げに、かまぼこを作ったあとに残る魚肉を使っていました」と明かす。

なにごとも無駄にしない関西人。その「もったいない」精神が関西のソウルフードを生んだのだろう。

(大阪・文化担当 安芸悟)

[日本経済新聞大阪夕刊いまドキ関西2013年7月31日付]

注目記事
今こそ始める学び特集