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幹部行員の経済感覚を磨く京都銀行の読書会 京都銀行会長 柏原康夫氏

2012/10/28

毎月第3木曜日。京都銀行の柏原康夫会長は行内の読書会「画竜塾」を主催している。メンバーは部長職の約20人。銀行の中でも多忙を極める部長を集め、あえて読書会を開く狙いは何か。

■常識的な発想を断ち切る読書

京都銀行の柏原康夫会長(京都市下京区)

柏原氏は1963年、滋賀大学を卒業して銀行員になった。忙しくて本を読む時間をあまり取れない。銀行員としてのキャリアを積み重ねる中で、どうしても経験に基づいて物事を判断しがちになり、「過去の延長線上の発想にとどまっていないだろうか」と自問自答してきた。新市場を切り開くような斬新な発想がなければ、銀行は激動の時代に生き残っていけないと考える柏原氏は「日常業務を離れて世界や日本の動きを把握する習慣をつけよう」と呼びかけ、今年4月に読書会を発足させた。

とはいえ、超多忙な部長たちに、あまりに時間をとられる大作を勧めるわけにもいかない。そこで、文庫や新書など手に取りやすく、読了するまでの時間が少なくて済む本を選ぶようにしている。

■発表の場を通じ、読み方を深める

本田宗一郎 夢を力に』(本田宗一郎著、日経ビジネス人文庫・2001年)、『経営はロマンだ!』(小倉昌男著、日経ビジネス人文庫・03年)など読みやすい本からスタートした。

行内の読書会では短い時間で読める本を選ぶようにしている

参加者は本の内容を要約した上で自分の意見を述べる。「普段の読書では、どんな本でもざっと読み流してしまいがちになるが、発表するとなれば読み方が深くなる」と柏原氏は言う。参加者全員に発言を求め、全体で1時間程度になる。

これまでにとりあげた本の中で、特に柏原氏の印象に残っているのは『高橋是清と井上準之助』(鈴木隆著、文春新書・12年)。積極財政を唱える高橋是清と、緊縮財政論者である井上準之助の足跡を追いながら、正反対の路線の間で揺れ動く日本経済の姿を映し出している。「関東大震災後の財政出動をめぐる国会での議論などは、東日本大震災への対応に揺れる現在の日本でも大いに参考になる。金解禁の波及効果などを学び直すよい機会にもなった」と満足している。

■読書会の議論、経営判断のよりどころに

グローバル恐慌』(浜矩子著、岩波新書・09年)にも刺激を受けた。08年に発生したリーマン・ショックの経緯や背景を検証。現在は金融危機の段階を超え、世界規模の「恐慌」へ向かっているのではないか、との仮説を打ち出している。

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