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「グレース・オブ・モナコ」で開幕 キッドマン主演

カンヌ映画祭リポート2014(2)

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NIKKEI STYLE

カンヌ映画祭の審査員の責任は重い。「ちょっとこれはどうかな?」という受賞結果がでると、翌朝にはジャーナリストと批評家が容赦なくたたくし、歳月を経ても歴史の厳しい審判を受ける。

開会式に先立つ14日午後、恒例の審査員記者会見が開かれた。コンペ作品の顔ぶれと同様に、今年は審査員にもカンヌの常連がそろった。

審査員、今年は女性が多数派

審査委員長はニュージーランドの女性監督、ジェーン・カンピオン。1986年に短編部門でパルムドールを受賞し、長編第1作「スウィーティー」をコンペに出品。93年に「ピアノレッスン」で女性初のパルムドールを獲得した。まさにカンヌの申し子だ。

ジャ・ジャンクー(中国)、ニコラス・ウィンディング・レフン(デンマーク)、ソフィア・コッポラ(米国)は出品監督として昨年もカンヌに来た。女優のチョン・ドヨン(韓国)は2007年に「シークレット・サンシャイン」で女優賞を受けた。俳優のガエル・ガルシア・ベルナル(メキシコ)は10年にカメラドール(新人監督賞)の審査委員長を務めた。

俳優のウィレム・デフォー(米国)、キャロル・ブーケ(フランス)も出演作が多数カンヌに招かれている。レイラ・ハタミ(イラン)はアスガー・ファルハディ監督「別離」の主演女優だ。

監督4人、俳優5人(ベルナルは監督もする)で、昨年に続き批評家や異分野の人材はなし。委員長を除く審査員が男女4人ずつというのは4年前から続く。今年は委員長が女性だから、ついに女性が多数派となった。

カンピオンは記者会見で「映画は私の人生すべてであり、その経験が観客としてどうあるかを形づくった。私は監督の世界観を味わい理解することに魅力を見いだしている。私たち全員が映画に情熱をもっている。どう反応するかを前もって予言することはできない」と語った。ブーケは「ジェーンの要請で、私たちは会期中、新聞・雑誌の記事を読まないことに決めた。客観的でいるために」と明かした。

ダンスをするニコール・キッドマン

夜7時15分に始まった開会式はフランスの俳優ランベール・ウィルソンが司会を務め、エレガントに進行した。アラン・レネ監督作品への出演で知られるウィルソンは3月に世を去ったレネに哀悼の意をささげ、カンピオン以下の審査員を紹介。客席に降りて、これから上映されるオープニング作品「グレース・オブ・モナコ/公妃の切り札」の主演女優ニコール・キッドマンとダンスを踊った。

モナコ公妃グレース・ケリーの秘話を描いた「グレース・オブ・モナコ」はオープニングにふさわしい華やかで楽しい作品だった。監督はマリオン・コティヤールを大女優に押し上げた「エディット・ピアフ~愛の讃歌」のオリヴィエ・ダアンだ。

海を見おろすモナコの坂道を猛スピードで走る車からのショットで映画は始まる。粒子の粗い映像が、82年の彼女の死を思い起こさせる。人気女優からお妃様に、そして突然の事故死。おとぎ話のような人生だなあ……と感慨にふけりかけたところで、画面は56年のハリウッドの撮影現場につながる。最後のシーンを撮り終えて、モナコ大公のレーニエ3世へ嫁ぐグレース。ニュース映像が「世紀の結婚」を伝え、あっという間に6年後の62年へと観客を運んでいく。

キャリアを捨てなければならなかった女性の物語

この年、新作「マーニー」を準備中のアルフレッド・ヒッチコック監督は引退したグレースをヒロインに起用しようと考えた。「ダイヤルMを廻せ!」「裏窓」に主演したクールビューティーはサスペンスの巨匠の大のお気に入りだった。

巨体を揺すりモナコの宮殿を訪ねたヒッチコックはグレースに「疲れているように見えるが」と語りかける。実際、公妃の務めは大変だ。フィラデルフィア生まれのヤンキー娘が、欧州貴族の世界に簡単になじめるはずがない。自分なりに子育てに励みながら、むしゃくしゃすると独りスポーツカーを駆り、海岸沿いの道を猛スピードでぶっ飛ばす。ヒッチコックの出演依頼に彼女の心は揺れる。

時にモナコ公国は存亡の危機に立っていた。フランスのドゴール大統領が過酷な課税を通告したのだ。交渉の糸口を探るレーニエ公だが、スパイの暗躍もあって、次第に追いつめられる。夫の窮地を見かねたグレースはハリウッド復帰を断念し、大勝負にでる。

ダアン監督は14日の記者会見で「伝記映画を作ることに興味はなかった。62年のみを取り上げることで、女優の、女性の、彼女の真の考えに迫る完全なポートレートを作ろうと思った」と語った。女優か公妃かで揺れるグレース。これはキャリアを捨てなければならなかった女性の物語であり、そんな女性の再出発に寄り添い、励ます映画なのだ。極めて今日的な主題と言える。

グレースの気品 ニコールの野心

完璧な公妃になるために、フランス語の発音から貴族らしい表情まで訓練するグレース。捨てたはずの女優のキャリアが第二の人生で生きる。「演じる」ということが彼女の人生を貫き、彼女を輝かしいものにする。それは誰もが何者かを演じているという人生の真理につながる。

グレース・ケリーとニコール・キッドマン。同じクールビューティーでも、グレースの気品に対し、ニコールはその野心のありようがいかにもリアルだ。そんなニコールの現代性がこの映画では生きている。まだまだ因習的な60年代の貴族たちに「現代的だわ」とお世辞を言われ戸惑う公妃。そのニコールの表情に、自分らしく生きようともがく21世紀の女性の面影が宿る。

モナコはカンヌの目と鼻の先。グレースとレーニエ公が出会ったのもカンヌ映画祭だった。会場を出て海岸沿いのクロワゼット通りを歩きながら、まだ映画の中にいるような錯覚にとらわれた。

(カンヌ=編集委員 古賀重樹)

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