保育所の需要、自治体はなぜ低く見積もりたがるのか待機児童解消できない原因に

2015年4月に始まる子ども・子育て支援新制度。保育所の整備目標の算出に自治体が苦慮している。国は潜在需要を探る事前調査に基づく計画を求めているが、利用希望が予想以上に多く、独自の“下方修正”が全国に広がっている。待機児童解消を掲げる国と現場を担う自治体。微妙な温度差が浮き彫りになっている。
都市部は保育所不足が顕著。入園を希望してもなかなか入れない(川崎市のアスク向ケ丘北保育園)

「あれ? 計算間違いかな?」。市民団体「保育園ふやし隊@杉並」の君島朋子さん(39)は目を疑った。

なぜ1500人消えた

手元には東京都杉並区が5月に試算した2015~19年度の保育利用見込みの一覧がある。0歳児の15年度利用見込みは「674人」。春先の資料では「2249人」と記されていたはずだ。消えた1500人。そのからくりは資料を読み解き理解した。

保育所を使いたい人はどのくらいいるのか。区は13年度に住民調査を実施した。春先の「2249人」はその生データだ。予想を上回る結果に区は回答を精査。すると0歳児保育を希望する一方で、子どもが1歳を超えても育児休業を取りたいと希望する人が多数いた。1歳以降も休むつもりなら保育所は使わないはず。その分を差し引き、「674人」に至った。

君島さんは疑問を投げかける。「育休が取れるのは原則子どもが1歳になるまで。希望者全員が1歳以降も休めるはずはない。そもそも今春の0歳児保育の申し込みが約900人。来年674人に減る理由が見当たらない」

子ども・子育て支援新制度では市町村(東京都は23区)が実施主体となり、すべての子育て世帯に保育や教育、子育て支援策などを提供する。事前に自治体がニーズ調査を実施し、それに基づき十分な量のサービスを整備することになっていて待機児童解消の期待もかかる。だが雲行きが怪しい。国は調査結果に基づく利用見込み量の算出手引きを示している。だが、そのままでは数字が高く出過ぎているとして、算出法を修正する自治体が出ている。

熊本市は15年度の保育所の利用見込み量を2万2711人としている。国基準だと2万4173人となるが、約1500人分を下方修正した。調査に約7割の専業主婦が「再就職したい」と答えた。こうした高い就労意欲が潜在需要を押し上げたと分析し、「希望通り再就職できるとは限らない」(子ども支援課)と考えた。今春の実績にここ数年の申請増加率などを加味して計算し直した。