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目指せ伊能忠敬 仲間と歩いてマッピング 手作り地図で防災力アップ

2014/7/2

 OSMFJ副理事長の古橋大地さんによると「当初は内輪の勉強会のようなものだった」が、東日本大震災で被災地の地図を素早く作り公開したことから広く知られるようになる。住民が街歩きをする形が町おこしイベントになると、観光協会や地域団体が開くケースが昨年から増え、今では毎週末にどこかでパーティーが開かれているほどだ。

 注目されているのは防災への効用。東京・伊豆大島の大島観光協会は昨年1月、マッピングパーティーを開催。中心集落の元町と三原山山頂付近のOSMを作った。観光地図や観光アプリ開発に役立てる目的だったが、同10月に台風26号による土砂災害が発生。すぐ被害状況を反映させた地図が作られ、支援に入る人が参考にすることができた。

 同協会の岡田雅司さん(36)は「協会のHPに地図のリンクを張り、島外の人に状況を説明するのに伝えやすく、地図のコピーも配れた。とても役に立った」と説明する。

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 きめ細かい情報を載せた地図の有用性に加え、住民がパーティーに参加する体験も、地域の防災力を向上させる。調布の柴田さんは300人でパーティーを開くことを目標に置く。「慣れた人が増えれば、災害時に地域の被災情報をすぐ送ってもらえるし、防災意識が高まる」と強調する。いざという時、そのネットワークの力は大きい。

 ユニークな試みを企画しているのが千葉県浦安市だ。同市は3年前から、将来のリーダー育成を狙い、全市立中学校の2年生の代表者を集め、様々な研修をする「立志塾」を開いている。この夏、その研修の一つとしてマッピングを活用する。

 中学生にタブレット端末を持たせ、メールなどで指示を出しながら、街中で避難訓練を実施。その中で、消火器などの写真を撮影して地図を作るマッピングをする。同市危機管理監の沢畠博さんは「平日昼間に災害が起きた時、高校生以上は市外にいることが多いため、中学生は大きな力になる。いま学ぶことで、災害時にリーダーとして活躍できる」と期待を寄せる。

 各地で開かれるマッピングパーティー。ただ、OSMFJの古橋さんは「1回だけ地図作りをして終わり、というのはだめ」とくぎを刺す。地域の人の手で、常に新しい情報が更新されるようにするには「参加者が楽しむこと。終わった後の飲み会目的でもいい。またやろう、と思えるイベントになってほしい」と話す。老いも若きも集まって地図作り。古橋さんの目標は、「一億総伊能化」である。

(編集委員 摂待卓)

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