CA制服、ミニスカの変遷にみる日本経済編集委員 小林明

森英恵(もり・はなえ) 1926年島根県生まれ。東京女子大卒。新宿のアトリエで映画衣装などを手がける。ニューヨークやパリのコレクションでも活躍。日本航空の4、5、6代目のCA制服をデザインする。5代目の大胆なミニスカートが話題に

CAの制服をデザインする側はどんな思いを込めているのだろうか。日本航空の4、5、6代目の制服を手がけたファッションデザイナーの森英恵さんに当時を振り返ってもらった。

男性客の視線をかわす工夫も

――70年に導入された5代目の制服はミニスカートを採用して大きな話題になりました。

「当時は世界ではミニスカートが流行していましたので、それを取り入れました。私は女性ですから、日本の女性の美しさを世界の人に紹介したいし、応援したい。飛行機からさっそうと降り立ったときに女性が格好良く見える制服にしたい。そんな思いを込めてデザインしました。ミニだと足が長く見えますし、ステキですよね。丈はひざ上8センチくらい。そしたら大きな話題になってしまって。新聞の4コマ漫画にもすぐに取り上げられました」

――CAの制服だと審美性とともに機能性も求められます。難しさはなかったですか。

「もちろん男性客の視線も意識しました。たとえば、CAが腕を上げて高い棚から荷物を取ったりすると、ミニスカートの裾にどうしても視線が行ってしまう。だから、その対策を色々と考えたんです。たとえば、タイツに小さく赤い文字でJALのロゴを入れて、視線がほかに向かわずに社名に行くように工夫しました。素材も伸縮自在なジャージーを採用しました。これならミニスカートでも動きやすいですからね」

働く女性の美しさを世界に発信

――男性と女性の目線に大きな違いがあったわけですね。

「そうです。そこで、着て働く立場のCAのリーダーの方に何度も意見を聞きながらデザインしました。男性優位社会だったので、CAの方とは同志みたいな感じで制服づくりに取り組みましたね。『働く女性がもっと輝けるように一緒に頑張りましょう』と。ただ、男性らしい目線も否定するつもりはありません。美しさや魅力も女性の武器ですから。客に見られることで姿勢や動作などに神経が行き届く効果も期待できると思います」

――デザイナーにとってCAの制服をデザインするのはどんな意味があるのですか。

「日本の航空会社の飛行機が世界中に飛び立っていく。会社のイメージだけでなく、日本のイメージも世界に発信することになる。日本を代表する仕事になるので大きな責任を感じました。各時代の景気や世相に応じて世界の流行を取り入れなければいけないし、日本らしさもきちんと表現したい。日の丸のデザインを意識したデザインをベルトや靴に取り入れたこともあります」

――4代目や6代目の制服では思い出はありますか。

「4代目の制服では最初はピンク色を提案していたんです。CAの制服は青か紺が圧倒的に多かったから、日本らしく桜の花びらのような色にしたいと思っていた。でも、『ピンク色だと汚れが目立ちやすいのでは』という意見が会社から出て、残念ながら見送りました。そこで、空をイメージした鮮やかなスカイブルーを採用したんです」

「6代目は日本航空が国際路線を拡充し、世界に本格進出した時代。CAも寒い地域から暑い地域まで実に様々な気候の国に行くようになった。だから、多様な気候に対応しやすいようにインナーにボーダーのシャツを合わせ、ジャケットやコートも付けたんです。これなら、暑ければシャツを脱げばいいし、寒ければ上にジャケットやコートを羽織ればいい。JALの国際化を象徴する制服だったとも言えますね」

エンタメ!連載記事一覧
エンタメ!連載記事一覧