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激化するアジアのアート競争 日本がとるべき戦略は

2014/5/30

香港の新美術館「M+」の完成予想図 (C) Herzog & de Meuron Courtesy of Herzog & de Meuron and West Kowloon Cultural District Authority

■シンガポールと香港の主権争い

塩見 インフラの面では、15年にシンガポールに国立の新美術館、17年に香港に「M+」という美術館がそれぞれ開館予定です。「M+」の館長となるのは英テートモダンの元館長。いわゆる欧米美術業界の本流にいた人材を引き抜いています。シンガポールも国家戦略として文化支援を活発にしています。今、シンガポールと香港がアジアの文化的ハブとなろうとして注目を集めていますね。

綿江 アジアの文化的ハブを競うパワーゲームはシンガポールと香港が勝ち組といえます。すでにリーダーをどっちがとるかという状況にあって、その競争についていけない国は、ほかの国との差異化が重要になるでしょう。

塩見 その中で、日本はどのように特色を打ち出せばよいのでしょうか。

金沢卯辰山工芸工房(金沢)によるアートフェア東京2014のブース。オブジェのほか日常で使える器などを展示した 撮影:岩下宗利
浦上蒼穹堂(東京・日本橋)によるアートフェア東京2014のブースでは北斎漫画を展示即売した 撮影:岩下宗利

金島 日本の古美術や工芸は海外の愛好家も多く、まだまだ開拓できる可能性が眠っています。私がディレクターを務めた美術見本市「アートフェア東京2014」(3月7~9日開催)では、現代美術と共に古美術や工芸、コンテンポラリージュエリーなどを積極的に紹介しました。

アートフェア東京2014、ギャラリードゥポワソン(東京・恵比寿)の展示風景 撮影:岩下宗利

国際的な潮流を見ても、近年、現代工芸や職人の技術への関心が高まっているのは確かです。マーケットの構造自体が揺らぎ始めている中、欧米型のグローバル化を単に目指すのではなく、日本ならではの伝統や文化を掘り起こしてアピールすべきだと考えています。

■日本は独自路線で市場開拓を

綿江 「アートフェア東京」に百貨店のギャラリーも多く出店していたように、日本の美術業界はオークションとギャラリーと百貨店で成り立っている。今後、美術市場を活性化するためには、この3者の連携が必要だと私は感じます。そして、欧米美術の歴史や文脈にのっとった価値観が崩壊し、言葉で美術を語らなくても良い時代になれば、日本独自の良いものも認められていくのではないでしょうか。

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