職場の健康、ゲーム感覚で 仲間と運動量競い合う

競争相手は国境も越える。「世界ランキングが3位から4位に落ちた。何とか挽回しよう」。プロのスポーツ選手の話ではない。バイオ試薬・機器販売大手のライフテクノロジーズジャパン(東京都港区)の「ウエルネスプロジェクト」の成績だ。

ライフテクノロジーズジャパンの羽田事業所(東京都大田区)では獲得賞金を使って運動器具を購入した

世界中に散らばる従業員がほぼ同じ土俵で競うこの健康増進プログラムは3年前に始まった。希望する5~11人でチームを結成し、米本社から送られる課題に挑む。

例えば今回6~7月は「シェイプアップライフチャレンジ」。毎週の歩数目標を自分で決め、その目標の高さと達成度を8週間競う。専用サイトでは300を超える参加チームや自分の順位が一目瞭然。最初設定した目標は週を追うごとに自動的に上がっていくので大変だが、チームメート同士で余った歩数を融通できる仕組みもある。

参加した福田浩正さん(34)は「何事も測る習慣が付くので体重管理に役立つ。ランキングが気になって仲間にもよく声を掛けます」。日本でプログラムを担当する竹内より子さん(57)は「世界中で競うのが楽しく、交流の機会にもなる。私も仲間に『歩数厳しいから助けて』とお願いしながら頑張っています」。

職場超え広がる

職場の枠を超えたチーム競争も盛んだ。神戸市が1日に募集を始めたのが「KOBE歩(ある)KING決定戦!」。同じ職場の4~5人でつくる60~75チームを募り、9月から半年間の1人当たり平均歩数を競う。毎日忙しいサラリーマン世代の生活習慣病対策にと呼びかけた。コベルコシステム(神戸市)の尾中宏司さん(37)は「他の職場の人と競うのは面白そうでぜひ参加したい。賞品が神戸マラソンの出場権だったらいいなあ」と興味津々だ。

チームで競い合う試みが「会社に強制される感じ。チーム戦だとなおストレス」(職場で健康づくりに取り組む千葉県の40歳代男性)となると意味がない。自分の体力や志向に合わせて楽しみながら取り組める仕掛けづくりが長続きのコツと言えそうだ。

健康経営に企業も関心

健康づくりが職場で広がる背景には「従業員の生活習慣病や肥満などを予防できれば、医療費をはじめ様々なコストを抑えられる」(三井化学)という企業の発想がある。2008年には40~74歳の人を対象に「特定健診制度」がスタート。従業員の健康は企業価値の向上にもつながると「健康経営」を意識する企業が増えてきた。

東京大学政策ビジョン研究センターは「健康経営研究ユニット」を昨年設置した。医療経営にも詳しい尾形裕也特任教授は「健康経営は従業員一人一人が力を発揮できる環境を心身両面で整えること」と解説する。医療費削減に注目が集まりがちだが、それはコストの一部に過ぎない。「健康づくりに組織全体で取り組めば生産性やブランド力なども高まり、広い意味でのコストや将来へのリスクを減らすことにつながる」と強調した。

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