山ガール、地底へ 「ケイビング」ツアー人気に
登山でアウトドアに目覚めた「山ガール」たちの関心が地底世界に広がってきた。専門ガイドの案内で洞窟(どうくつ)をめぐる「ケイビング」ツアーが人気を集めている。ひんやりとした暗闇の迷路をヘッドライトの明かりだけで進み、美しい鍾乳石や地下水を見つけるツアーは探検家気分をかき立てる。専門ガイド資格を認定する業界団体も立ち上がり、初心者も楽しめるレジャーとして認知されつつある。
「野生のコウモリやきれいな鍾乳石を見ることができて、ハマリました。ガイドさんがいるので安心です」。4月、群馬県上野村でのケイビングツアーに参加した東京都在住の女性(38)は、予想もしていなかった地底世界の奥深い美しさに魅入られた。
ツアーを催行するジャグスポーツ!(群馬県みなかみ町)は年間500人ほどを同社が地主から借りている洞窟に案内している。装備や保険料、温泉入浴料などを含む1日コースで料金は1万1000円。ガイド1人が8~10人を案内する。最近は問い合わせが増えており、ゴールデンウイークや夏休みは予約で埋まる日もあるという。
参加者は20~30歳代の女性グループが多い。おそろいのオレンジ色のつなぎとヘルメット、ヘッドライトを着用。「みんなでレスキュー隊のような格好をして洞窟の迷路に入っていくと、テンションが上がり、チームとしての連帯感が出てくる」(同社)というのも、女性人気の一因のようだ。
ケイビング人気の高まりで、とりわけ脚光を浴びているのが鹿児島県の沖永良部島だ。カルスト地形で洞窟が多い同島は2011年に沖永良部島ケイビング協会を設立し、一般向けのケイビングツアーを始めた。全長10キロに及ぶ「大山水鏡洞」のうち、鍾乳石が段々畑のように積み重なり、そこに地下水が流れる「リムストーンケイブ」の景観を楽しむコースだ。
ガイドが地下水に水中ライトを入れると、水面が淡いブルーやグリーンになり、神秘的な光景が演出される。ここでも参加者の中心は20~30歳代の女性グループ。「ダイビングや登山などを趣味にしている人が多い」(同協会)といい、多い月には50人ほどがツアーに参加する。
暗闇でルートを見失いやすく、携帯電話も通じないケイビングは、専門ガイドがいなければ危険が大きい。11年に設立されたケイビングツアーの業界団体、日本ケイビング協会(愛知県一宮市)は、自然のままの洞窟を安全に案内したり、地質や鉱物について解説したりできる専門ガイドを養成する講習を実施しており、これまでに25人が認定された。
同協会の吉田勝次会長は「日本にも一般の人が入っていない美しい鍾乳洞はたくさんある。ガイド同士の横のつながりができれば情報も多くなり、米国のようにツアーが盛んになるのではないか」とみている。
同協会は、泥のついた手で鍾乳石を触らない、みだりに鍾乳石を踏まないよう同じルートを歩く、といった環境保全マナーの普及にも取り組んでいる。
本格的ツアー | 群馬県上野村 | ツアー会社のジャグスポーツ!(群馬県みなかみ町)が3~12月に催行。ゲーム感覚で鍾乳石や地下水をさがす。料金1万1000円 |
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富士山麓 | ツアー会社のアウトバック・アドベンチャーツアーズ(山梨県富士河口湖町)が催行。富士山の溶岩洞窟を案内。料金は平日4000円、土日祝日とGW、7~8月は5000円 | |
鹿児島県沖永良部島 | 沖永良部島ケイビング協会(同県知名町)が催行。段々畑状の鍾乳石空間「リムストーンケイブ」を案内。料金1万5000円 | |
観光鍾乳洞のオプションツアー | 景清洞(山口県美祢市) | 観光コースのさらに奥をヘッドライトの明かりだけで進む探検コースがある。料金大人1300円、子ども860円。所要1時間 |
玉泉洞(沖縄県南城市) | 7月13日~9月末に非公開エリアの探検コースがある。水深1メートルほどの水中ルートも。料金2000円、探検服レンタルは別途1500円。所要2時間 |
(生活情報部 表悟志)
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