今回の震災では、企業が社員のボランティアを側面支援する動きが目立つ。

社会貢献活動に熱心な企業というイメージを打ち出す狙いもあるが、社員のボランティア意欲を満たすことは愛社精神を高めることにもつながる。被災地での活動を通じて働く意義を問い直す社員も少なくない。企業研修などを手がけるリンクアンドモチベーションの小笹芳央社長は「みんなで一緒に進む達成感、人の役に立つ喜びに気付かされるのだろう」と分析する。

「ケント」「クール」などのたばこを販売するブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン(東京都港区)は、会社ブログに「ボランティア休暇があると支援に行きやすい」と社員が書き込んだことを受け制度を設けた。

SMBC日興証券は、休暇制度の新設とともに、日本経済団体連合会の「企業人ボランティアプログラム」を社内ネットで紹介。宮城県石巻市で汚泥処理を手がけたアナリストの橋本宗治さん(29)は、特定非営利活動法人(NPO法人)の職員らが被災者の心に寄り添う姿勢に触れ、「人の思いを盛り込んだ経済モデルをつくれないか」と考えるようになった。

経団連のプログラムには、6月末までに45社の社員が参加。自発的な参加ばかりで中心は30代、40代の働き盛りだ。「社会的な課題を事業活動に投影する必要性が高まっている。災害ボランティアに参加することで、社員の社会的感度が上がる」と、経団連政治社会本部主幹の長沢恵美子さんは企業が社員の参加を後押しする背景を語る。

企業が経費を負担して独自にボランティアバスを出し、社員を継続的に派遣する動きも生まれた。ブリヂストンは11月まで、グループの社員と家族600人弱が参加するボランティアツアーを続ける。参加者の9割がボランティア初体験。8割超が「会社主催だから参加できた」という。

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