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海鮮→牛肉、即席麺を中国に売り込む「味の職人」

編集委員 小林明

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NIKKEI STYLE

中国版「カップヌードル」を開発している"味の職人"がいる。

上海日清食品公司(上海日清)の市場部長、小野博史さん(40)。上海に3年、香港に3年、再び上海に2年と勤務してきた中国市場攻略のスペシャリストだ。大学在学中に1年間、北京の大学に留学して以来、中国の食文化が大好きになり、「週末はもちろん、1週間の半分は地元で話題の中華レストランに足を運び、人気メニューを食べ歩く」という生活を続けている。

中国は13億人以上の人口を抱え、世界の即席麺消費の約4割を占める巨大市場。同じ国内でも気候や風土が大きく異なり、「広東料理」「四川料理」「北京料理」「上海料理」など様々な食文化を培ってきた。そんな歴史があるだけに、日本で生まれた即席麺を浸透させるためには様々な工夫が必要だったようだ。

"味の職人"たちが麺食の本場、中国で「カップヌードル」をどう売り込んできたのか? 今回は中国の「食の最前線」の舞台裏を紹介しよう。

中国で海鮮風味が人気の理由は?

日清食品が香港に現地法人を設立したのは1984年のこと。それを皮切りに、94年に広東日清、95年に上海日清を設立し、急速な経済発展を遂げた沿岸部を中心に即席麺を売り込んできた。「主戦場はずっと沿岸部。だから、カップヌードルの売れ筋は魚介類の具材が入った海鮮風味が圧倒的に多いんですよ」。小野さんはこう説明する。

たとえば香港地区。「カップヌードル」の味は全部で12種類あるが、売れ筋順に並べると1位「海鮮味」、2位「香辣(シャンラー)海鮮味」、3位「カレー海鮮味」、4位「XO醤海鮮味」と上位4位はいずれも海鮮風味が占めている。この4種類だけで全体の売り上げの7、8割を稼ぎ出す。日清食品は香港地区を中心に圧倒的なシェアを握っているそうだ。

「海鮮→牛肉」が新たなキーワード

ただ、中国の即席麺市場は2008~12年で425億食、409億食、423億食、425億食、440億食と推移しており、爆発的な成長を続けるインド市場などと違い、拡大のペースはやや鈍化気味だ。

「だからこそ、沿岸部の海鮮風味だけでなく、牛肉を好む内陸部の消費者もつかまなければいけない」と小野さんはみる。経済発展を追い風に、内陸部でも「カップヌードル」の主要顧客層である流行に敏感で豊かな消費者がどんどん増えているからだ。

海鮮から牛肉へ――。これが新たな合言葉になっている。

「五香」と「麻辣」で2方面作戦

牛肉風味には2種類ある。「五香(ウーシャン)」と「麻辣(マーラー)」。

「五香」は桂皮(シナモン)、丁香(クローブ)などの粉末を混ぜて作った混合香辛料。独特の香りがあり、肉料理の下ごしらえに使う。江蘇省・南京などの人にはなじみのある風味だ。

「麻辣」は花椒(カショウ)、唐辛子などによる味付け。四川料理によく使われており、四川省・成都などの人にはなじみの深い風味。舌がしびれるような辛みがあり、新陳代謝が活発になる効果がある。これを使った代表的な料理が麻婆(マーボー)豆腐。日本でも人気が高い。

「五香と麻辣の2方面作戦で、南京や成都など内陸部の消費者に売り込んでいる」(小野さん)。日清食品グループの中期経営計画では、香港を含む中国市場での売上高、営業利益を2012年実績の208億円、18億円から、15年にはそれぞれ322億円、27億円と約1.5倍に増やす目標を掲げている。

カギは電子レンジ対応

中国市場攻略でカギとみられるのが「電子レンジ対応」。

市場調査の結果、「最近の若者が調理器としてまず電子レンジを購入する傾向がある」ということが分かったからだ。そこで、日清食品では利便性をアピールするため、商品のパッケージに、熱湯を注ぐという従来の食べ方に加え、電子レンジによる調理法も載せている(容器に入れる水や湯の温度のほか、電子レンジのワット数などによる加熱時間の違いをイラスト入りで解説している=写真)。

さらに腐心したのが底の構造。中国版「カップヌードル」では「ラウンドボトム」という技術を採用している。実は、側面と底の角度が直角だと電子レンジの電磁波の作用で必要以上に過熱してしまう恐れがあるらしい。そこで「底を球形にたわませることで側面との角度が直角になるのを防いだ」という。

このように、味覚だけでなく、ライフスタイルの変化に合わせた調理法、食べ方にも配慮するなど、市場に浸透するための細かな努力を重ねているのだ。

"味の職人"が明かす「勝利の方程式」

「自分たちの食文化を押しつけず、相手の食文化に自らを合わせていくのが基本戦略」。小野さんはこう強調する。

そのため、各海外法人には専門の開発部隊を置き、日本人と現地人による混成チームを編成している。こうした"味の職人"たちが現地の食文化や消費動向を丹念に調査しながら、新たな食文化を生み出しているわけだ。

実は、ヒット商品の味を開発するための「勝利の方程式」がある。

大切なのは、味付けのモデルとなる地元の料理店を1つ選定すること。「これなら地域の消費者に受け入れられる」という具体的なメニューを、実在する店の中から実際に選んで決定するのだ。そして、開発スタッフが何度も店に通い、その料理を参考にしながら商品の味を作り上げていく。

「試食を繰り返し、消費者の声も聞きながら改良を重ねるんです。商品を発売した後も見直しを続け、より客に好まれる味に仕上げていく」と小野さん。こうして味覚は進化を繰り返していく。「味覚の探求」は小野さんにとって、終わりのないライフワークなのだという。

日本と海外でなぜ違う? 商品のロゴ

最後に雑学をいくつか紹介しよう。

前回、「カップヌードル」の名称が日本(単数形=カップヌードル)と海外(複数形=カップヌードルズ)では異なることを取り上げたが、それ以外にも面白いウンチクがある。

写真は日本版と米国版のロゴ。双方でデザインが微妙に違っていることにお気付きだろうか? 

注目してほしいのが「O」の形状。実は、日本版のロゴだと、「CUP NEEDLE(カップニードル)」と誤読されやすいことが

以前から指摘されていた。アルファベットの「O」と「D」の文字がかなり重なっているうえ、「O」のハネも大きいので、「e」と間違われやすいのだ(「NEEDLE」だと「針」という意味になってしまう)。

そこで、特に外国人の誤読を防ぐため、海外版はロゴの文字の重なりをやや離し、ハネを少し抑え気味にして、「O」を「e」と間違わないように手直ししたという。2003年のことだ。さらに全体のデザインにも手を加えたので、海外版の方が日本版に比べると立体感が少し薄れた印象のロゴになったそうだ。

もう一つは日本版のカタカナの表記。「カップヌードル」の「ド」が、なぜか小さめに印刷されていることにお気付きだろうか?

日清食品によると、これは「ヌードゥル(NOODLE)」という正確な発音に近づけるための工夫だという。たしかに「ド」を小さく書いた方が、英語の発音がより正確に表現できているような気がする(ただ一部では、「ヌード」という単語が目立たないように配慮したのではないかという俗説もあるようだ)

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