2014年 ゴキゲン職場を生みだす3つの絆とは…
お祭り系の絆が職場をつなぐ?
バブル世代既婚男子
今の若い人たちは、職場で先輩たちが面倒をみてくれないから孤立感を深めるところがあるようだね。確かに皆で飲みにいく機会は減っている。僕らが若い頃はもっと連帯感があって、よく皆でカラオケに行ったり、スキーに行ったり仲良くしたものだけど、もしそんな絆が求められているなら、例えば、一緒にカラオケに行くところから付き合っていきたいな。
50代頑固系男子 君らバブル入社の世代は、皆で何かしようという勢いがすごくあるよね。職場がバラバラになりがちな昨今、その勢いは貴重だと僕は思う。今日はまず、バブル世代のノリの良さをもっと職場で生かすことができないか、考えてみたいね。
30代草食系男子 皆でつながろうとするのは、バブル世代だけではないですよ。最近の20代の若者たちは、フェイスブックなどのSNSでいつも周りとつながっている。この2つの世代が飲み会とかで率先してつながって、他の世代も巻き込んでいくと、職場の絆は強まるんじゃないかな?
50代頑固系男子 20代の人たちはどう思う?
20代出来過ぎ系男子 うーん、確かにフェイスブックなどでつながっている面はあるけど、それは自分の同期の人間に限られますね。だれか同期でお祝い事などがあったりしたら、同期仲間だけが閲覧できるかたちでつぶやき合ったりします。でも、先輩たちとはちょっと……。
50代頑固系男子 世代限定型のつながりというわけだな。
20代実は肉食系女子 それに、むやみにカラオケなどに行こうと誘われても、ちょっと困りますね。職場の皆で何かやることには賛成ですけど、自分の役に立つこととか、意味のあることでないとあまり参加したいとは思えない。
50代独身姉御系 カラオケじゃ、だめなの?
20代実は肉食系女子 いつもカラオケじゃ、きついかもしれません。そうではなくて、例えば、自分がまだ不得手な財務諸表の読み方を一緒に勉強する会などがあれば、自分の役に立つから参加してみたい。飲み会にしても、そこで自分たちの世代だけでは分からない会社内の情報を収集できるなら、参加する意味はすごくあると思うんですよ。
50代頑固系男子 若い人たちを上の世代とつなげていくには、君らにとって何か意味のある企画を仕掛けないといけないようだね。
バブル世代既婚男子 ずいぶん価値観が変わってきているね。それじゃあ、財務諸表の勉強会みたいに若い人が積極的に参加したいと思ってくれるお祭りを一緒に考えていこうか。何か参加したい企画を思いついたら、若い人も率先して皆を引っ張っていってほしいな。
50代頑固系男子、専門家を訪ねる
50代頑固系男子 というようなわけで、「つながり好き」のバブル世代と若者たちに、職場の連帯感を強める先導役になってもらおうと思うのですが、専門家の意見を聞きたいと思いましてね。それなら、「不機嫌な職場」などの著書があり、職場のコミュニケーションについて詳しいジェイフィール代表取締役の高橋克徳さんかなと思ってお邪魔しました。
高橋さん その絆づくりは面白いと思いますよ。バブル世代も、今の20代も、人間関係を重視する点でベクトルが共通しています。だから、彼らを中心に職場の絆が強まっていけばいいですね。
ただ、この2つの世代は全く違っているところもあるから注意しないといけない。つまり、バブル世代は、何でもどんどんやってみる開拓者なのですが、若い人たちは、効果や効率をきちんと見極めて動こうとする。だから、バブル世代が若い人を巻き込んでいこうとするときには、彼らのそんな価値観に近づき、一緒にやっていこうと思えるように仕掛けてもらいたいですね。
50代頑固系男子 参加すれば何か役に立つのが大事なのですね。
高橋さん いや、そこまでガチガチに考えなくても大丈夫だと思いますよ。今の若い人たちは社会のためになることをしたいと考え、やさしさや思いやりのある世代なので、たとえ自分の役に立たないことでも、そのイベントやプロジェクトに何か意味があると思えば乗ってきてくれます。大義があればいいのでしょうね。
学び系の絆が職場を深める?
50代頑固系男子 お祭り系の絆ができることで職場が明るくなっていくことを期待したいね。ほかに、もっと職場の絆は生みだせるだろうか?
アラフォー既婚女子 私は50代以上の先輩たちがゴキゲン職場を生みだすカギを握っていると思いますね。今の30代や私たち40代は現場のリーダーや中間管理職として忙しすぎて、なかなか若い人の相談に細かく乗ってあげられない。その穴を埋めて、いい相談相手になれるのは50代以上の人たちだと思うんです。私も以前、50代の先輩には相談に乗ってもらい、癒やされたことがある。
アラ還お気楽系男子 40代の中間管理職の人たちを見ていると、本当に忙しそうだよなあ。気がついたらオレが若い人の話を聞く役になっていることは確かにある。
バブル世代既婚男子 50代以上の先輩たちの経験と知識は職場の財産だよね。精神的に支えてもらえるだけでなく、いろいろと仕事上の細かなことでもアドバイスが期待できる。そんなベテランが核になって絆が深まる可能性は確かにあるんじゃないかな。
50代頑固系男子 けれども、当のベテラン社員たちの間では、残念ながら自分たちがそんなワイルドカードだという意識は薄いかもね。もう自分たちの時代ではないという自信喪失みたいなものもあって、職場の難しいことは30~40代の後輩たちに任せ、自分は定年まで逃げ切ろう、泳ぎ切ろうというタイプの人も少なくない。
30代草食系男子 そんな自分中心の人間が増えてくると、職場はギスギスしてくると思いますよ。
50代頑固系男子 良くも悪くも、50代社員が職場でどう振る舞うかによって職場の雰囲気は変わりそうだね。
50代頑固系、再び専門家に聞く
50代頑固系男子 というわけで、ゴキゲン職場を生みだすためには、ベテラン社員、特に人数の多い50代社員の奮起が求められるように思うのですが、いかがでしょうか。
高橋さん 確かに50代社員(安定成長期世代)の役割は大きいでしょうね。この世代は本気になったら、すごい人たちだと思いますよ。なにしろ若い頃、日本の高度経済成長を担った猛烈な先輩社員たちに鍛えられて、仕事の基本動作がしっかりできている人が多い。仕事を大切にして、ゼロからプロジェクトを立ち上げ、開拓することもいとわなかった。
50代頑固系男子 若い人たちが学ぶものは大きいかもしれませんね。
高橋さん 仕事重視で真面目な点で、50代といちばん似ていて相性がいいのは、就職氷河期世代の人たちだと思います。大学時代からキャリアについて真剣に考えてきた氷河期世代は、高い専門性を持とうとコツコツと勉強する傾向があります。
50代頑固系男子 それじゃあ50代社員と、30代を中心にした氷河期世代の社員たちが学びを通じて絆を深めていく可能性がありますね。この学び系の絆が深まれば、職場が良い意味で引き締まってくるかもしれない。
高橋さん 氷河期世代は、効果や効率を重視するので、そんな価値観を理解して一緒に学んでいけるといいでしょうね。
家庭系の絆が職場をなごます?
アラフォー既婚女子 職場には「育児つながり」というのもあるんじゃないでしょうか。子育てと仕事を両立させようと頑張っているワーキングマザーは、育児に積極的にかかわるイクメンやイクメン予備軍の男性たちと理解し合えると思うんです。
50代頑固系男子 ああ、その視点は大切だね。僕なんかは20~30代の草食系の男性たちが子どものおむつ替えをしたり、ミルクをあげて寝かせたりするというのを聞いて、ただ驚くばかりだけど、両立の先輩である女性たちだったら実践的なアドバイスもできるだろうし、精神的に支えてあげることもできそうだね。
30代草食系男子 仕事が立て込んでいるときに子どもが熱を出して保育園から電話がかかってきたときの気持ちは、実際に経験した人でないとわからない部分があるでしょうね。そういうときにフォローしたり、されたりする中で、家庭系の絆がほっこり生まれてきてもおかしくない。
20代出来過ぎ系男子 僕はまだ子どもがいるわけじゃないけど、仕事と子育てを両立させている女の人たちはすごいと思いますね。これから自分にも家庭ができたら、いろいろと教えてもらいたいですね。
50代頑固系男子 この絆が職場の雰囲気をなごませてくれるかもしれないね。独身の人たちはどう思う?
アラサー独身女子 いいと思いますけど、実際に子どもが大変で仕事ができないとき、その仕事が私たち子どものいない人間にいっぱいくるとしたら、つらく感じる人も出てくると思います。
50代独身姉御系 育児つながりというだけだと、その絆は細いものになってしまうんじゃない? だから例えば、老親の介護問題が出てきている人を皆で支えるとか、もう少し広く支え合うことができればいいのじゃないかな。
バブル系既婚男子 もう少し言うと、何かボランティアに出かけたいとか、プライベートで夢や趣味を持っている人にも理解を示せる職場であってほしいですね。
50代頑固系男子 まあ、忙しいときになかなか理想通りにいかないだろうけれど、ゴキゲン職場にしたいなら、ほっこりした家族系の絆も大切にしたいね。
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