ソニーが探り当てた「インド画質」とは?

韓国勢の牙城を崩すため、ソニーが様々な戦略を打ち出したのは2004年前後からだという。

国内支店を増設する一方、営業マンやアフターサービス体制なども拡充し、売上高の6%を広告費に投入するなど積極的な販促キャンペーンを展開。さらに100人以上の消費者モニターを対象に徹底的に聞き取り調査することで「インド人視聴者は鮮やかな色がより鮮やかに見える画質を好む」という傾向を探り当てた。

社内ではこれを「インド画質」と呼んでおり、「マレーシアで生産したインド向けの薄型テレビを出荷段階で特別に鮮やかな色がより鮮やかに見えるように初期設定している」(ソニーインディア)という。実際に売り場で競合モデルを見比べてみると、確かにソニー製品の画質はより鮮明で色味が鮮やかに映っている印象を受ける。こうしたきめ細かな戦略が実を結び、四半期ベースで市場シェア首位に立つ状況にまでに追い上げてきたわけだ。

昨年のインドの薄型テレビ商戦では、ソニーが「画質」、サムスンがインターネット接続機能を備えた「スマートテレビ」、LGが「3D機能」を目玉に販売戦略を展開。それぞれシェア拡大に知恵を絞っている。

ただ「ほかの日本勢や欧州勢に加えて、『ビデオコン』などインドの家電ブランドも3強を激しく追い上げている。ブラウン管テレビからの将来の買い替え需要なども見据えると、現状のシェア争いに新たな変化が起きる可能性があるかもしれない」。家電量販店「クロマ」のエルフィンストーン店長のカジェさんはこう見る。

2025年までに「中間層」「高所得層」が4倍に増加

最後にインドの消費人口構成と主な耐久消費財の普及率を見ておこう。なぜメーカー各社がインド市場に熱い視線を送るのか、その理由がよく分かるからだ。

インドの国立応用経済研究所(NCAER)や米マッキンゼーの資料などによると、世帯年収が20万~100万ルピーの「中間層」は、2009年の3120万世帯から15年には1.9倍の6050万世帯、25年には4.1倍の1億2800万世帯に大きく増加する見通し(1世帯平均人数は5人)。世帯年収100万ルピー以上の「高所得層」も同時期に240万世帯から1.4倍の330万世帯、4倍の950万世帯に増えると予想されている。

一方、インドの耐久消費財の普及率(英ユーロモニター・インターナショナル調べ)は中国と比べてもまだ低水準。将来、飛躍的に伸びる余地があると見られている。たとえばカラーテレビの普及率は中国が96.6%なのに対し、インドは63.6%。特に都市部よりも地方部での普及率が低くとどまっており、今後、経済成長が続けば膨大な需要が生まれるのは間違いない。

こうした消費層の将来の購買意欲は計り知れない。メーカー各社にとって、潜在成長力の大きなインドは、世界でも有数の魅力的な巨大市場なのだ。

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