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君も化け物界で使命果たせ イマどきお化け屋敷事情

2013/7/26

お化け屋敷は怖い化け物を見て楽しむエンターテインメント。江戸時代からの伝統的な仕掛けでは、それが常識だった。ところが、昨今はそれではすまないようだ。お化けと指切りをしたり、パートナーと助け合ったり。イマどきのお化け屋敷で、来場者が自らお化け世界の一員を演じ始めたそのワケは……。
「口から歯を手で抜いて出口までお持ちください」──「呪い歯―密十号の家ー」の入り口で来場者はそんなミッションを伝えられる

「こちらのアトラクションでは、絵美子という女性が出てきます。絵美子は大きく口を開いてイスに座っていますので、その口から黒い歯を抜いて、出口まで落とさないようにお持ちください」

お化け屋敷の入り口に立つ係員が、にこやかな表情で説明を始める。すると来場者たちは「えーっ」と驚きの声を上げた。「口に手を入れるの?」「絶対にかまれるよ」。不安を口にしながらも、全員がおそるおそるお化け屋敷に入っていった。

■かつては「場面型」と「迷路型」の2つだった

東京ドームシティアトラクションズ(東京・文京)で開催中のお化け屋敷「呪い歯―密十号の家―」の入場時のやりとり。来場者に特定の任務を与える「ミッション型」の企画は、今やお化け屋敷の主流になっている。

ミッション型の第1号といわれるのは、1996年に後楽園ゆうえんち(現・東京ドームシティアトラクションズ)で企画された「パノラマ怪奇館’96~赤ん坊地獄」。来場者は入り口で赤ちゃんの人形を渡され、「屋敷の暗闇に潜む魔物から赤ちゃんを守りながら、出口で待つお母さんに届ける」というミッションを与えられる。以来、ミッションは様々な形に広がった。昨年、大阪・梅田で人気を集めた「梅田お化け屋敷2012 ゆびきりの家」での化け物と指切りをするという演出もその一つだ。

来場者に任務を与える「ミッション型」お化け屋敷の「パノラマ怪奇館'96 赤ん坊地獄」。来場者は人形を抱いてお化け屋敷を回ることになる

ほんの30年ほど前までのお化け屋敷といえば、もっぱら屋敷内の機械仕掛けを見て回るものだった。お化け屋敷の歴史に詳しい大阪府立大学の橋爪紳也教授によると、伝統的な日本のお化け屋敷は「場面型」と「迷路型」の2つに大別されたという。

場面型は、みんなが知っている怪談や恐ろしい事件の現場を再現し、来場者がそれを見て回るというもの。歌舞伎の舞台にもなった「番町皿屋敷」や「四谷怪談」の仕掛けはその代表格だ。人々が怪談を楽しむようになった江戸後期に始まり、19世紀前半には、からくり人形を使って再現するお化け屋敷も登場した。

一方、迷路型は暗闇の迷路に隠れたお化けや仕掛けが来場者を驚かせるタイプ。登場したのは明治に入ってからだ。当時、英国から輸入された「メーズ」と呼ばれる迷路が人気を博していた。メーズ自体は単に出口を見つけだすだけのエンターテインメントだったが、そこにお化けの人形や舞台装置を加えたのが始まりだった。

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