「仕事の成果、もっと主張していい」 ルース・ポラットさん
米モルガン・スタンレー最高財務責任者(CFO)
世界中のマネーが集まる米ウォール街で、最も影響力を持つ女性といわれる。米国屈指の金融機関である米モルガン・スタンレーで最高財務責任者(CFO)を務める。決算や資金調達、投資家との対話など幅広い分野を担当する。
ビジネス一辺倒ではない。21歳の長男をはじめ3人の息子の母親でもある。10年以上前には乳がんと診断され闘病生活も経験した。
「仕事と生活のバランスをとろうとすると結局どっちつかずになる。仕事を優先する時期もあれば、家族との時間に比重を置く時があってもいい。臨機応変に仕事と生活をミックス(融合)するのが大切だ」と秘訣を話す。
1987年に入社しM&A(合併・買収)などで会社に助言する投資銀行部門で活躍してきた。米国でIT(情報技術)バブルが盛り上がった90年代後半には、アマゾン・ドット・コムやイーベイなど多くのインターネット企業を株式の新規上場(IPO)に導いた。
リーマン・ショックが起きた2008年には、投資銀行部門で金融機関を担当していた。ニューヨーク連銀による保険大手AIGの救済などで、当局へ助言するチームを指揮した。豊富な経験と人脈から米財務省の副長官候補として名前があがったこともある。
若い女性たちには「自分の仕事の成果をもっと声高に主張すべきだ。黙って座って一生懸命働くだけではだめ」ともアドバイスする。
自分自身も上司に積極的に働きかけ、大きな仕事を任せてもらい成長した経験があるからだ。リスクをとって仕事を自分に任せてくれ、成果を出せば評価し引き立ててくれる――。そんな「スポンサー(後援者)」となってくれる上司を持つ大切さも力説する。
米国でも大企業の経営トップや役員に占める女性の比率がまだ低いことに不満を隠さない。女性が働きながら家庭も持てる仕組みを、国や企業レベルで整備する必要性を訴える。一方で、「安倍首相の『女性が輝く日本にしたい』という発言には拍手を送りたい」と、日本の変化に期待を寄せる。
(編集委員 三反園哲治)
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