中野の未来像を地元商業者はどう見ているのだろうか?
代表者の2人にインタビューした。
●中野ブロードウェイ商店街振興組合理事長の青木武さん
――現状までの再開発の効果をどうみるか。
「最も目立つのは平日の朝の客が明らかに増えたこと。出勤途上の会社員や授業に出るために来た大学生が買い物を楽しむ姿をよく目にするようになった。無視できないプラス効果だ。駅ビル新設について、昔なら反対する方針で地元商店街が一致したかもしれないが、もうそんな時代ではなくなっている。むしろ前向きにとらえて、中野の集客力が高まるように努力すべきだと考えている」
――中野ブロードウェイには外国人観光客も多く訪れるようになった。
「おかげさまで世界での認知度は急速に高まってきた。口コミの世界の波及効果はすごい。安倍晋三政権が『観光立国』を掲げて外国人客の誘致に取り組んでおり、心強い追い風になっている。先日も自民党の石破茂幹事長が中野ブロードウェイに初めて来店し、鉄道関係のグッズを購入してくださった。こうしたファンや得意客が増えることで大きなPR効果も期待できる」
――今後、中野をどんな街にしたいか。
「中野ならではの独自の文化風土を発信できるユニークな街になってほしい。アマゾンなどネット通販の伸長が激しく、リアルな店舗は生き残りが難しくなっている。商店同士で足の引っ張り合いをしても仕方がない。リアルな店舗同士で手を組んで、ネット通販には絶対に負けないような魅力あふれる商店街にならないといけない」
●中野南口駅前商店街会長の吉田稔夫さん
――駅ビルの誕生をどうとらえるか。
「3年ほど前に駅ビル誕生の噂が出たときには、事前説明もなかったので私は即座に反対を表明した。だが状況は変わった。地元の消費者も『便利になっていい』と駅ビル誕生に賛成しているし、我々も客の利便性が上がるなら恩恵は享受できると考えるようになった。いったん駅ビルをつくると決めたら、流れはなかなか止まらないもの。駅ビルとの共存共栄は十分可能だと思っている」
――今後、何が課題となるか。
「駅を通過する乗降客はかなり多いが、それが駅の南側になかなか波及しにくいのではないかという懸念を根強く持っている。その意味で、中野区が西側南北通路を設置することになったのはとても良いこと。人の流れが東西南北にもっと活発に動くようになることを希望する。そのためには各地域が特徴やテーマを打ち出していかないとダメ。『障害者アートの支援』など時代の変化を見据えた新たなテーマも地元商店街として検討している」